モネの眼 再考

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既に何度か触れてきた「モネの眼」。光を点で表現する、あの描画方法ですが、カメラでも再現できることを示してきました。説明が少し面倒なのでわかりにくいという向きもあるかもしれないので、またサンプル写真を紹介します。

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既に触れたように、写真を撮る時に「焦点をずらしていくと、画面上の光源は絞りのカタチでボケに」なっていくことを利用すれば、モネらが表現した光のダンスを写真で写し出すことが出来ます。いったんそのことが実感できれば、ルーアン大聖堂やその他の絵画が面白いように見えてきます(ホンマ)。

そのことを再度私の写真で示しておきましょう。というのも、ここ最近、びわ湖の周りも急激に陽射しが強くなってきたので光のダンス的なサンプル写真が簡単に撮れるようになってきました。

まず1枚目。ぼんやりとした写真はドウダンツツジの花を撮ったものです。物体の姿形を光の点になるようにわざとピントを外してしまうと下のようなものが撮れます。ここでは小さな白い花や緑の葉っぱが開放に近い絞りのカタチで写っていて、まるで印象派の点描画。モネというよりスーラやシニャック的といった方が合っているかもしれませんが、そこらは印象派的ということでご勘弁。

光が強ければダンスをしているように画面上に点々が散乱しますから、これこそ印象派の画家たちが表現しようとしたイメージなのか!と気づいた時に小躍りしたものです。

この話、視力の良い人にはわかりにくいかもしれません。でも、もし(涙か、あるいは水がかりで)目が濡れていたりすると人為的にピントが合わせられなくなるのでこんな風に見えるはず。また、オートフォーカス(AF)なカメラでは自動でピントを合わせてしまうので、下のような写真は得られません。

念のためにピントを合わせたものが下の写真です。こちら、背景になっている部分は被写界深度の関係で暈けていますが、手前の花や葉っぱにはピントが合っているので形がきちんと解像しています。でも、これでは普通の写真。

もう1枚サンプルを出しておきます。庭桜の写真です。ピントを外して点描画風にしたものとピントを合わせたものを続けてアップしておきますので比べてみて下さい。

まぁどんな風に見えても目の前の世界はいっしょ。でも、世界の見え方は脳の働きでなんとでも変えられます。とりあえず、印象派の絵を鑑賞する時には実際の場面を思い浮かべ、次にそのピントを外しながら絵を観れば光のダンスが楽しめます。そうするとモネたちが何を表現しようとしたか、そんな気持ちに少しは近づけるかも?。