やくざと腎移植

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京都府立医大がやくざの親分の便宜を図って虚偽の診断書類を作成していた疑惑が持たれ、メディアを賑わせています。そんな事実はない、親分との付き合いはないと否定していた医大側ですが、その後の捜査で祇園での会食がばればれ。さらに関連の武田病院まで巻き込み、手の込んだ違法行為であることが次第に明らかになってきます。でも、問題はそれだけなのでしょうか。(追記およびそのコメントあり:2/21)

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事件は、京都府立医科大付属病院(京都市上京区)などが山口組系暴力団組長の収監見送りを巡って検察庁に虚偽の病状を記した文書を提出し、便宜をはかっていたというもの。現在捜査中なので確定ではありませんが、要するに医大と暴力団組長に便宜を計って診断書を偽造し検察を騙していたらしい、というわけです。

当初、京都府立医大側は親分と院内で会ったことは認めていましたが、学外での接触は「分からない」としていました。でも、その後学長が祇園で複数回会食をしていたというのがばれて医大の説明はその場逃れだったことが明らかになりました。

また、ばれた会食について学長は「代金は払ってもらっていない」と接待を否定しているのですが、この金銭のやり取りがややこしい。産経新聞(2017/2/19)によると、京都府立医大が祇園で飲み食いする時の代金は系列筋に当たる京都の武田病院が払っていたらしい。学長はお金を出さずとも、やくざを医大に紹介した武田病院側が裏でお金の采配をしていたというわけなのか。現在その学長、一切会見に応じていないとのことでメディアから逃亡状態です。

産経新聞 2017/2/19 より

さて、大新聞やテレビはこの事件をやくざと医大等との不適切な関係ということで報じようとしていますが、はたしてそれだけなのでしょうか。私には腎移植をめぐるやくざと医療の深い闇がかいま見えたような気がしてなりません。

まず腎移植の順番をめぐる問題。腎移植は提供者が少なく、おまけに適合性の判断が重要です。親子兄弟などの近縁者が適合提供者になるのが難しいとなると、なかなか順番が回ってこないのが普通でしょう。なぜ、やくざの親分が腎移植できたのか。ちゃんと順番待ちだったのか。それとも何らかの理由でヤクザに優先的に回したのではないかと勘ぐってしまうのは私だけでしょうか。追記:このケースは親族からの提供とのことでした。訂正しておきます(親族といっても無理矢理養子縁組で近親者を装うという事件も過去にあったことを思い出しましたが、この件はどうだか私には不明)。

日本では順番が回ってこないのにシビレが切れた患者さんがフィリピンなど海外で移植手術をする話も聞きます。その腎臓はどこかの貧困層が身を切って売ったものかもしれませんし、そこに日本のヤクザが介在しているらしいというウワサも絶えません。一方で日本のヤクザらが借金をかかえた債務者に「腎臓を売れ」と恫喝することもあると聞けば、腎移植をめぐる医療とやくざには常人には知り得ぬ複雑な醜悪な関係があるのではないかと思うのは当然です(もちろん、それが今回の事件に繋がっているというわけではありません)。

だれが修復腎移植をつぶすのか――日本移植学会の深い闇もう1つ厄介なのは腎移植をめぐる利権の問題。この事件でニセの診断書を担当医に命じたのは、担当医の弁によれば吉村了勇病院長とのこと。調べたら、彼は腎移植などが専門の再生外科医。それも日本移植学会総会会長を務めたことがある人物です。何か匂いますね。

ネットで検索すると、修復腎移植を潰した時の臨床腎移植学会の会長がこの吉村氏。当時宇和島徳洲会が実施していた修復腎移植を過剰に問題視して葬り去った張本人でした(出典は 高橋 幸春「だれが修復腎移植をつぶすのか: 日本移植学会の深い闇」(東洋経済新聞社)。

病気腎の移植はダメだとキレイゴトはなんとでも云えるでしょうが、修復腎移植は諸外国の趨勢で患者さんの希望の1つ。それを否定したのは腎移植をめぐる現在の利権を擁護していることに他なりません。その時の学会ボスがヤクザにはことの他優しいということになれば、ヤクザ絡みの腎移植利権にも配慮したことになりはしないでしょうか(単なる推測です、念のため)。


この事件は腎移植をめぐる闇には触れないように話題を上手に外しながらどこかで手打ちがなされ、ヤクザと医大中枢部との不適切なお付き合いという程度の話で終息することでしょう。でも、事件のキーワードは腎移植。それをめぐる患者不在の医療とドス黒い利権の話だと私は考えます。