隠されてきた砂糖の危険性

.Lowcarboあるいは糖質制限 .opinion

2016年9月12日付で Sugar Industry and Coronary Heart Disease Research と題された論文がJAMA(米国医学会)内科雑誌に登場しました。ONLINE FIRSTという但し書きがあるので印刷前にネットに公開したというのでしょうが、中身を読んでびっくり。砂糖が冠動脈心疾患に関係するという研究結果が砂糖業界の圧力で長年ずっと隠されてきたというのです。

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糖質制限を始めてほぼ4年、私は砂糖を全く使わなくなりました。摂食すると血糖値が上げるからです。幸い、糖類アルコールを使った代替品を使えるため日常の用に困ることはありません。外食の時も、砂糖を多用するような食事やタレはできるだけ避けようと注意を払っています。

ちなみに砂糖(しょ糖あるいはスクロース)とはブトウ糖と果糖の混合物質(2つの単糖が縮合した二糖類)で、皆さんご存じの甘味料です。日常的にごくありふれたものですが、糖質そのものの問題に加え脂肪のように振る舞う果糖が問題になるため肥満の原因となることを、UCSFのルスティグ博士などの指摘を引用しながら紹介してきました。

j160912

今回話題にする論文の要約は以下の通り。

砂糖による冠動脈性心疾患(Coronary Heart Disease:CHD)の危険性は1960年代から指摘されてきた。当時の内部資料から砂糖研究財団(SRF)が1965年のCHD研究プロジェクトや脂肪やコレステロールのみがCHDの原因であるとした医学雑誌(NEJM)の文献レビューをスポンサーする一方で、砂糖の消費も危険要因であることをないがしろにしてきた。また砂糖業界は1960年代、1970年代に脂肪こそがCHDの原因であるとする研究に資金提供を行ってきた。

とし、

政策を定める委員会は食品業界が資金源となっている研究を重視せず、砂糖摂取に伴う多様なCHDの生物指標や発症に関する研究に加え、機序や動物実験による研究を考慮に入れて検討すべきだ。

と提案しています(勝手訳です、念のため)。

要するに、1960年代から狭心症や心筋梗塞などの冠動脈性心疾患の原因には砂糖の摂食もあることがわかっていながら、そのことが表に出ると商売に悪影響があると考えたのか、砂糖業界がお金の力を使って一般の目に届かないようにあれこれ画策してきた、というわけです。

不勉強な学者や栄養士さん等は論外として、この科学的事実はもう隠せないほどに広まってきました。砂糖業界やその意を受けた御用学者らが脂肪だけを問題にしてきた歪みも神通力を失いつつあります。その結果、2014年にはWHOが砂糖の摂取基準を設けたり、日本の厚労省も2020年には糖類の摂取量を制限するような基準値を策定するという動きが出てきました。今回のJAMA内科雑誌の論文はそういった流れを加速化させることでしょう。そもそも糖質の摂食を抑えようという糖質制限やケトジェニックにとっても追い風です。

内容について詳しく知りたい人は下記にリンクをつけておきますので是非原論文にあたって下さい。

Sugar Industry and Coronary Heart Disease Research

追記の2あり → 隠されてきた砂糖の危険性 2