ワン切りも様変わり

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電話の呼び出し音が一回だけ鳴って切れるから「ワン切り」。拙宅にもときどきワン切り電話がかかってきますが、その目的は昔とは様変わりしているようです。

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ワン切りといえば昔はサギの常套手段でした。手口を知らない人のために云えば、「ひょっとしたら大事な電話なのかもしれない」そんな思いで着信履歴に残ったワン切り電話番号へかけると、そのまま有料電話に繋がって後日びっくりするような請求が届く、そんなアコギな電話でした。

最近はインターネットの隆盛で詐欺サイトへ誘導する方が簡単なのか、電話によるワン切り詐欺は少なくなってきたのかもしれません。それでも時折ワン切り電話はかかってくるので、詐欺師の息は長いなぁと思っていたら、どうやらワン切りは新段階へ入ったようです。

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新しい段階とは与信調査。その電話は本当に使われているのか、いつから使用されているのか、そんなデータを電話番号毎に集めることで対象となる人や会社の信用状況を把握しようというものです。

金融機関や不動産屋さん、その他何者でもいいのですが、ある人の生活実態を調べようと考えたとしましょう。即席の電話番号は信用できないから固定電話をどのくらいの期間使っているのか、それを知ることによって信用の程度を把握できるという目論みです。

そのためには継続的に電話番号の使用実態をチェックしておかねばなりません。今はコンピューターを使えば自動チェックは簡単です。ワン切りなら電話代もかかりません。ひたすら電話番号に総当たりで電話をかけまくり、電話がかかればその番号は使われていることがわかります。また、それを長く続けていけば一定期間における実態つまり信用情報を得られるというわけです。

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調べてみると、既にそういうデータを作って売っている会社がありました。たとえば、株式会社ダンゴネット。「与信名人」と銘打ったサイトをみると、曰く、

毎月、総務省が管理発行している国内全ての固定電話2億5千万件・携帯電話番号1億9千万件の電話の使用状況を調査し毎月更新している 履歴データベースを利用し(当調査を行っているのは弊社ではございません)、不動産業界向けに提供している信用調査サービスの一つです。

とし、「多くの企業様で信用調査の一部としても利用しているサービス」だとしています。具体的には電話番号の利用状況から「虚偽の申告を見破る」ことができるという例をあげています。

要するに、電話番号の使われ方から電話番号を持つ人や会社などの存在の有無をチェックしていこうという調査会社なのです。「相手先の電話を鳴らす事なく調査をしております」と弁明していますが、ホンマにそうなのか。ちょっと納得し難いものがあります。

それにしても、電話代コストを極力抑えたうまいアイデアです。ワン切りの様変わりにちょっと驚いた次第。でも、深夜睡眠中のワン切りだけは止めて欲しいものですね(きっぱり)。

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