未だになくならないプール飛び込み事故
2015/06/27
夏が来れば思い出す、ではありませんが、未だにプール事故が起こらない年はありません。今朝Yahooニュースを見ていたら、プールでの飛び込み事故に関する記事が出ていました。ここ最近の事例とその分析から見ても、まだまだ問題の根が深いことを窺わせます。
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記事を書いたのは内田良氏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授)。題名は、「くり返されるプール飛び込み事故 底に激突 頭頸部の重度障害 まずは保健体育の指導の見直しから」。なぜこの記事に気付いたかといえば、内田氏が参考文献に私の名を記していたからです。
内田さんの分析について全く同意します。「いまもなおプールでの飛び込み事故がくり返されている」というのはその通りですし、一般の水泳授業の時だけでなく部活動時の事故が起きているということから、「一定の飛び込み技術があったとしても、重大事故が起きてしまう」という指摘は重要です。また、日本水泳連盟のガイドライン(2005)を引用し、プール水深が妥協点であり、ガイドラインを守っていても複合的要因で事故は起こり得るということを説明しています。
事故が不可避な状況を生み出しているのはいかなる理由なのか。生徒が注意すれば防げるのでしょうか。プール管理者がきちんと対応すれば事故はなくなるのでしょうか。否です。私は生徒の身長とプール水深との関係から探ってみました(あぶないプール)。また、本サイトでもプール構造上の欠陥を指摘してきました。
いろいろな経緯があったのでしょうが、現在文科省は学校プールでの垂直飛び込み禁止という指導を行っていますが、それが現場に有効なのかどうか。まず飛び込み台の撤去から始めないと実効あるものにはならないだろうと私は考えていますが、どうでしょう。とにかくプール飛び込み事故の最近の実情について知りたいなら、内田さんのお話をお是非どうぞ。
それにしても、やっとアカデミックなところからプール問題に取り組む人が登場してきたことは本当に有り難い。私がプール排水口や飛び込み問題を調べていた90年代にはまともな統計資料もない状況でしたから、尚更です。
私自身健康上の理由もあり、2006年のふじみ野市の排水口事故以来、プール関係の資料集めや解析作業から手を引いてしまいました。だからというのも変ですが、内田さんには大きな感謝とともに、皆さんにも氏の記事を紹介する次第。学校関係者は心して今年もプール教育に取り組んでいただき、不幸な事例を作らないようにして欲しいものです。