役に立たぬインターネット

一泉庵

 巷ではインターネットに繋ぐと有益な情報がいっぱい手に入ると説く人がい る。本当だろうか。そりゃ違うぞ、と私は言いたいクチである。最近の一例をあ げておこう。


今回の統一地方選で友人が某地域で立候補した。投票後、その知人が当選 したかどうかをチェックしようとインターネットで探ってみた。しかし、関連情報 はない。あるのは、全体の投票率がどうであったかとか、女性候補が何人通っ たか、あるいは、マスコミがもてはやす人たちの動向が載っているだけ。どこの 地域で誰が当選したか落選したか、肝心の情報が全くない。落胆した。

情報とは誰かが発信しない限り生まれない。インターネットの選挙情報にし たって、どこかの新聞社や報道関係、あるいは関係者が自ら制作してネット上 に流さない限り、情報として成立しない。今回の統一地方選で当選した人は約 1万人前後いるはずだから、考えてみると、個々の名前全部列記するような情 報提供は大変といえば大変かもしれない。しかし、その1万の個々人にとっては 唯一無二1つづつの大事な情報である。選挙の全体像は個々の話があっての 話なのに、個々人の当落がわからないような選挙情報は、いったい誰のための 何の情報なのか。しばし、私はMacの画面の前で考え込まずにはいられなかっ た。
要するに、インターネットで何でもわかるというのは幻想だし、情報提供者・発 信者がいないければ何の意味もないという「事実」を再度確認してしまったわけ だ。「「たくさん」という情報量は質も抜きにしては語れないし、有益」という言葉 の裏に潜む、誰にとっての有益かという命題もある。

ということで、開票後2日経っても友人の消息はまだわからない。本人に聞けばすぐわかるのだろうが等と逡巡していると、27日晩に本人から当選との連絡 あり。良かった。記念に彼女の選挙用パンフを載せておくことにしょう。