おいしいニース   ニース その12

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C0_zuciあまり期待していなかったニースでの食でしたが、見事に読みがハズレました。新鮮な野菜、果物、ハーブをふんだんに使った内容はむしろ今風、味わいも滋味深い。肉いっぱいが良いとか脂切ったヘビーなモノが好きな人にはもう1つかもしれませんが、素材重視の味わいが好きな人にはピッタシです。


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旅に出ると誰しも食事が気になります。お腹を満たすだけで良いという人は別ですが、私はその土地の美味しいモノを是非食べたい…というタチですから、レストランの選択は不可欠です。

C21_fenlところが見知らぬ場所でどこが良いのかというのは実に難しい。雑誌や美食家の言い分は宣伝丸出しだし、ネットの評価は玉石混交でピンキリ。味覚や嗜好がぴったり合わないと他人のアドヴァイスもあまり役に立ちません(絶対味覚なんてのはありませんので)。

でも、選ばないと先に進みません。私の場合、海外ではとりあえずトリップアドバイザーを参考にします。ただ、トリップアドバイザーは宿を選ぶ時の信頼度は高いのですが、レストランはもう1つ。おそらく、宿に対する評価水準は一般化できるけど、食は人によっていろいろで、好みの幅が大き過ぎるからでしょう。


C3_tomato前振りが長くなりました。ニースの食事の話に入りましょう。南仏の名物料理といえば、まず思いつくのはブイヤベース。ニース辺りでもよく出てきます。ただ、鮮度の良い魚介類は値段が張るため、質を求めると代金は高くなります。

どこかで1回くらいは…と考えていて、まずヴィルフランシュの有名店で美味しいのを味わいました(既に触れた通り)。マルセイユは澄ましスープみたいですが、ニースは濃厚な魚スープ、そしてサフランで黄色に色づけされています。パリ辺りで出てくる魚スープが好みな私にはニース風ブイヤベースはウエルカム。お店によってフェンネルの使い方や出汁のとり方が違うので、見た目はいっしょでも味わいはかなり違ってくるので要注意(別のニース市街のお店でも注文しましたが、もう1つでした)。


Le Mere Germaineにて

Le Mere Germaineにて

次に名物なのはニース風サラダ(Salade niçoise)。新鮮な野菜にツナやアンチョビ、それに固茹で卵などを載せたシンプルなサラダです。なんてことない内容ですが、旅に出るとフレッシュな野菜は実に有り難い。健康的で気分が爽快になるし、元気が出ます。


Auberge des Seigneurs にて

Auberge des Seigneurs にて

そして、野菜の肉詰め料理、ファルシ(Farci)もよく知られています。ズッキーニの花などの中にいろいろ詰めるもので、彩り良し味わい深しでいいですね~。


飲み物はどうか。
レストランでは、とりあえずブルゴーニュやアルザス(の比較的高いもの)を薦めてくるのですが、南仏のワインにもいろいろあります。こちらが地元産でお薦めは?と問うと、あれこれ銘柄を教えてくれました。

C2_leClosちなみに、南仏のAOCは9つあります(詳しくはこちらのサイトをどうぞ)。ニース近辺ではコート・ド・ベレ(bellet)。香りは華やかで、味わい爽やか。でもコシはしっかり。イイものは値段もそれなりで、ニースの☆付レストランでも定番みたい。また、ブイヤベースに合うとされるカシー(Cassis)も評判通りで、魚介の出汁に負けません。バンドール(Bandol)もなかなかです。行った先のレストランでそれら3銘柄を見つけて注文してみましたが、裏切られることはありませんでした。やっぱり、地元のお料理には地元のワインを合わせるのが良いみたい。


Villa D'esteのアンティパスタ、15種類以上の総菜いっぱい

Villa D’esteのアンティパスタ、15種類以上の総菜いっぱい

幸い、レストランには良い所に当たりました(もちろん、はずれもあり)。着いた当日の晩、ジェットラグの状態で適当に選んだのが、Villa D’este。隣の客が注文したものに驚き、あれは何かとギャルソンに尋ねると、「アンチパスタ」だというのでそれを注文。合わせてピッツァとプロヴァンスのロゼ。お薦めを聞くと自分ならロゼリンだと云うのでそれを選択。スッキリした飲み口でマル。まぁここの味は大味ですが、スタッフの活気や雰囲気が良いので疲れがとれる感じなのが何よりでした。


Le Vaubanにて

Le Vaubanにて

アンティーブのLe Vaubanはとても良かった。インターネットで予約して行ってみると地元の人と観光客が半分半分で賑わっています。味、サービスともに良しで、とくにランチの19.50€はコスパ抜群。地元のご婦人方がグラスワインを嗜みながら、美味しそうにランチを楽しんでいる様子は見ているだけで幸せな気分になりました。このお店は機会があればまた行ってみたいものだと思った位です。


La Farigouleにて

La Farigouleにて

また、VenceのLa Farigouleもマル。予定していたレストランがなぜか休みだったので、こちらを直前で予約したのですが、マダムやスタッフの対応が心地良く、思いがけずのディナーになりました。こちらも地元客が次々と訪れ、すぐに満席。やっぱり地元の人に愛されるお店は当たり外れがない、という原則?を再確認した次第です。


要するに、☆付きの高級レストランでなくとも、美味しい店はちゃんとある、ということでしょう。ニースにはミシュランの☆1つのお店はそれなりの数がありますし、☆2つもいろいろ。でも現地で知り合った人曰く「☆1つはもう1つ、行くなら☆2つ以上」とのこと。好みが合うかどうかで当たり外れがあるからのようですが、全く同意します。それよりも、地元の人が贔屓にするお店を何とか探し出す、というのが美味しいものに辿り着く極意かもしれません。

いずれにしても、ニースでは野菜や魚介の料理をコートダジュールやプロヴァンスのワインで合わせる、これが二重マル。明るい陽射しや快適な気候を楽しむにはそれが一番です。

・・・といいつつ、私たちはニース旅行の最後でMentonにあるMirazurへ向かいました。数年前に☆2つに昇格したばかりのレストランです(続く)。