日本の恥 それを庇う大メディア
2013/05/29
米英ほか各国だって同じことをやっていたじゃないか、日本は国家として従軍慰安婦に関与していない等々と主張する橋下大阪市長。他のヤツも同じことをしているじゃないかと主張したって誰も納得しませんよ。日本の恥ですな。おまけに国の公式見解まで否定してしまえば国家の信用に関わる事態。
ところが厄介なことに、NHKはじめ日本の大メディアは先日の外国特派員協会での質疑を国民にきちんと伝えません。まるで橋下市長を庇っているかのようです。
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NHK他が国民に伝えなかったことはいろいろあります。
まず、従軍慰安婦について日本の組織的関与はない・人身売買した事実を裏付ける証拠はないとの橋下市長の主張について、それはおかしいとニューヨークタイムズの記者が問いかけた件。人身売買の定義とは「だますこと、組織的移送、意に反して働かせること」のことであり、軍が移送に関わったと橋下氏が認める限り、人身売買はあったと云わざるを得ないと指摘したら、明言を避けたらしい(出典は田中龍作ジャーナル)。
これを受け、ニューヨークタイムズはどう報じたか。「Japanese Politician Reframes Comments on Sex Slavery」の中で、橋下市長の「いくつかの売春宿は日本軍が運用していたが、主たる業務は性病感染防止だった」との発言を取り上げ、慰安婦を移送していた件については橋下自ら軍の関与を認めた上で、「強制には深く関与していなかった」との主張を伝えています。要するに彼の主張が誤りであると、彼の発言をたんたんと報じているわけです。運営も移送も軍が関与していたのですから、わざわざ人身売買の定義には触れるまでもなかったというわけでしょう。日本の報道とは違いますね。
Many brothels were run not by Japanese, but by local brokers on the Korean Peninsula and elsewhere, he said. And though some brothels were run by Japan’s military, he said, the military’s main task was to prevent the spread of sexually transmitted diseases for the sake of the women.
He stressed that while Japanese military boats and trucks were sometimes used to transport women to the brothels, the authorities themselves were not deeply involved in the coercion of women. He said he did not believe that Japan’s actions amounted to human trafficking.
(出典は 2013/5/27 Japanese Politician Reframes Comments on Sex Slavery)
また日本のメディアが知らん顔した件には、橋下本人が売春に加担しているのではないかという質疑応答もありました。イタリア人記者から橋下市長本人が大阪飛田遊郭の顧問弁護士をしていた件について、(売春禁止の日本で)「女性の尊厳を重視するといいながら、相反していないか?」との鋭い問いかけがなされたのです。
それに対し、橋下市長は、かつて料理組合の顧問弁護士だったことを事実だと認め、「料理組合自体は違法ではありません」とかわしたところ、会場からは失笑がもれたらしい。(出典は田中龍作ジャーナル)
橋下市長は「自分が気に入らないなら選挙で落とせばいい」と主張するわけですから、こんな人物を市長に据えている大阪市民の良識こそが、世界に問われているというべきところでしょう。
ところで、なぜこういうゴマカシ・欺瞞的な橋下主張やそれに対する批判的な記者会の反応が日本では報じられないのでしょうか。各社足並み揃えて、米国絡みの話と軍の関与を認めた河野談話に関する質疑だけを話題にするのを読むと、まるで報道統制です。