今年もいろいろ読みました
2012/12/31
今日は西洋歴の12月31日。自然歴(旧暦)ではまだ11月19日で、大石内蔵助の討ち入り日12月14日はまだまだ遠い(苦笑)。お変わりございませんか。
今年もいろいろ本を読みました。私が気に入ったもの、これは面白いなぁというのは本サイトで紹介しようと思っていますが、筆不精なせいか、なかなか適いません。反省を兼ねて年の瀬に今手近にあるものをいくつか紹介してみましょう。
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今年お亡くなりになった藤本義一さんの最終作。題名の洒落が彼らしい。3.11以降見かけないなぁと思っていましたが、闘病生活だったのでしょうか。
この本で氏はあるTV番組で広瀬隆さんを登場させ原発の危険性を解説してもらった時、TV局から早く切れと命令されたことを暴露していますが、そういう理不尽さを拒む氏の真摯さがポスト3.11では疎まれたのかもしれません。
TVや新聞で取り上げられなかったといえば、日本最初の宇宙飛行士である秋山豊寛さんの言い分もそうです。もとTBS記者でワシントン支局長、そして宇宙飛行士という輝かしい経歴の後、福島で有機農業をしていたのですが、昨年の大震災・原発事故で土地を追われてしまいました。
秋山さんは自らを原発難民と称し、「事件」を記録し、起こしてしまった者たちの責任を問い、自らが一員だったメディアの責任を追及しています。最後に、ビキニ環礁の原水爆で誕生したゴジラが大都市を襲うという話を引きながら、「内部被曝している可能性のある多くの福島県民はゴジラになる可能性を秘めている」と結んでいるところが、氏の怒りを哀しくもストレートに表現しています。凄まじい。
たくきよしみつさんの「3.11後を生きるきみたちへ」もTVや新聞では取り上げられることのない本かもしれません。姑息なメディアは本当の話をもろ嫌がるから。
福島県川内村に住んでいた著者は3.11で何が起きたのか、メディアは何をしなかったのか、その後政府は何を行い、自治体はどうしたのか等々、ストレートに記しています。とくにこの本の第七章は秀逸。幸福感とは何かを模索しながら、ポスト3.11の価値観の転換に迫っています。
秋山さんやたくきさんのお話をきちんと取り上げないTVや新聞は今でも原発マネーが支配する政治的道具でしかありません。原発は必要だ、安全性さえ確保できれば再稼働してほしいと今でも考えている人は是非この本を読んで欲しい(そんな人はこのサイトなんかに来ないかもしれませんが念のため)。
さてさて、なんといっても私にとって今年は糖質制限に出会った年でした。京都高尾病院の江部康二医師の一連の著作にはいろいろと教えられること多しで、ご飯やパン、麺類など糖質を摂らなければ血糖値が上がることがないという話は目からウロコでした。また、糖質制限を実践するいろんな人たちの主張や体験談はきわめて勇気づけられました。
脂質の摂取についても理解を深めることができました。最初に挙げた英書はサブタイトルが「How the Cholesterol Myths Are Kept Alive」(コレステロール神話はいかにして生き延びているのか)で、スウェーデンの学者がわかりやすく解説したコレステロール研究の話。日本の権威筋が云う話とは真逆なのが現状を象徴しています。
原発の危険性を隠していた関連学界やメディアの本質はここでも如何なく発揮されているようで、どうやら私たちは病気の世界でもとんでもない状況に追い込まれているみたい。
幸い、私は糖質制限を実践する人たちの本を通じて、糖尿病や肥満、食生活に関する世間の常識がいかに間違ったものであるか、よくわかりました。水中の微量有害物質を研究テーマにしてきた私自身にとって、糖質という微量ではない有害物質の存在には唖然とし、健康とか人生とは何かという根源的な命題まで頭を悩ませ、ちょっと困惑気味の年後半。自身の知識の枠組みそのものを再構築する必要にも迫られています(この件、いずれ整理して書きます)。
いつまで経っても知らないことだらけ。だから人に話を聞いたり本を読みたくなるのですが、だからといって充足されるわけではなく、むしろ知らないことが山ほどあるのに改めて気づかされてしまうので大変です(苦笑)。かくして、まだまだ本読みは続いていきます。(西洋歴の)来年もよろしくお願いします。