携帯かPHSか、電子社会と予防原則について

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逆転戦略 先月末、ドコモのPHSをウィルコムのに換えました。
まず、ドコモがPHS事業から撤退するとの報道発表があったこと、2つ目に京ぽんの存在を知ったこと、そしてある本を読んでPHSの将来に夢を持つことができると判断したからです。…


私はケータイを所有していません。パソコンを持ち出した時にケータイで電話回線に繋ぐには速度が遅すぎること、そして人体への影響に不安があることが大きな理由です。速度の問題については昨年辺りからauの商品でかなり速いのが出てきましたが、パケット使用料というコスト面からみればPHSとは勝負にならないくらい高額です。これでは実用的とは(私には)いえません。むしろ、無線LAN(が使える環境なら、それ)で繋ぐ方が合理的といえましょう。

ケータイと予防原則

もう1つのケータイによる人体への悪影響については未だ全く払拭できていません。既にもう2,3年使っているから問題なしと云いたい向きもあるでしょうが、使い方によっては大きな危険があるという研究報告がある以上、「予防原則」にしたがって使用を差し控えるのが無難と判断するのがベターだと私は考えています。

どうしてもケータイを使わないと済まない生活をしている人なら、健康問題とのトレードオフで考えればいいだけ。でも、基地局からの電磁波は高圧電線下の影響とあまり変わりないという話も聞きますので、ケータイによる便益の一方で、他人にも被害を与えている危険性に注意を払ってほしいものです。(なお、人体影響については、荻野晃也著「ガンと電磁波」などを参照して下さい)

というような訳で、私はPHSを使っていました。ところが、ドコモがPHS事業から撤退するという知らせを聞いて、今後も外出時にインターネットに接続するのなら、他社のPHSにするか、あるいはFOMAみたいな携帯電話に切り替えなければならなくなりました。コスト面もさることながら、ケータイから出力される電磁波はPHSの10倍以上、PHSなら病院でも使用可能ですが、ケータイはアウト。この理由からFOMAは使えない。では、他社のPHSはドコモ並に使えるのかどうか。

京ぽんは凄い!

調べてみると、PHSのシェアはウィルコム(DDIポケットの新会社)の方が大きく、接続可能範囲も大きいとのこと。これなら問題ありません。さらに興味深いことに、昨年春に登場した京ぽんこと、AirEdgePhoneがOPERAブラウザを搭載しており、単独でインターネットの散策やメールが利用できるとのこと。これだったら、外出時にわざわざパソコンを持ち歩かなくていい。さらにチェックしてみると、速度は32bpsと低速ですが、私がよく使う地域ではドコモのPIAFSでも同じ速度ですから(個人的には)問題なし。むしろ、パケット使用に応じた料金契約を選べば時間のロスはカバーできそうです。かくして、私のドコモPHSはウィルコムの京ぽんに替わったというわけです。でも、変更理由で決定的だったのは、先に表紙を掲げた本を読んだせいでした。

PHSの未来

「逆転戦略」の副題は、「- ウィルコム 「弱み」を「強みに変える意志の経営 -」となっています。内容を一言でいえば、世の中はPHSを捨ててケータイに走っているようだが、PHSの未来はとても刺激的で夢のあるものなのだ、そのことに気づいている京セラと投資顧問会社のカーライルは今後の国際戦略でその実現を図っている、見ておけ、モバイル業界は逆転するぞ…というものです。

詳しい話は読んでのお楽しみとして、なぜケータイが売れてきたのか、一方でPHSがどうして衰退してきたのか、それは技術的な問題なのか営業上の問題なのか、ドコモがシェアを落としているのはなぜか、また、中国でなぜ小霊通なるPHSが流行るのか 等々興味深い話題が満載です。

はたしてモバイル業界においてパラダイムシフトがあるのかどうか。私にはわかりませんが、そのシフトの一端にいる、たしかな実感をこの本で得ることができました。そして、PHSの未来に自信を持ち、京ぽんを身につけるこの頃です。