バットマン 

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ダークナイト [DVD]バットマン3部作の最後の3つ目がいよいよ日本でも公開されます。このシリーズ、従来のバットマンとは異なり、悪の描き方がきわめて現実的で巧妙で、考えさせる処多し。いち早く始まった米国では2作目に影響を受けたという若者が、コロラドの映画館で銃を乱射して死者12人!という有様です。

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バットマン三部作が完結すると聞き、つい数日前ツタヤで2作目の「ダークナイト」を借りて観たばかりの私でした。

「ダークナイト」はジョーカー役のヒース・レジャーが凄い演技だとか、そのヒースさんが出演後死んでしまったのでバットマンシリーズは3つでオシマイにせざるを得なくなったとか、いろいろと話題を振りまいた作品。たしかにジョーカーは凄まじくも圧倒的な存在感で画面を飛び跳ねていました。

でも、「ダークナイト」が印象的なのは、この映画が悪というものを誰もが抱く危険性について、えらく突き詰めて描いている点。悪を叩くバットマンを歓迎していた市民が自分らに危険が及ぶ段になるとバットマンを疎んじるようになり、同僚の検事らも死の選択に迫られたり、そして望みが絶たれると善が悪に替わってしまうような展開まで出てきます。詳しくは観てのお楽しみですが、悪と善というのがそんなに変わらないという現実(うまく説明できなくてご免)に改めて考えさせられる処が圧巻でしょう。

えっ、バットマンって勧善懲悪のドタバタアクションじゃないの?って訝しがる向きもあるかもしれません。たしかに昔のTV版、つまりバットマンとロビンが悪人相手に秘密兵器や最新鋭バットマンカーで暴れ回るバージョンのものはそうでした。でも、映画版のこのシリーズ、「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」はそうじゃありません。バットマン恐るべし! 映画の主人公じゃなくて映画そのものが、ですよ。

その最終映画が米国では20日からロードショーということだったので、出だしはどうかな〜と思っていると、飛び込んできたのが銃乱射事件。

米コロラド州デンバー近郊オーロラ市の映画館で20日未明に起きた銃乱射事件で、地元警察は同日、死者12人に加え、58人の負傷が確認されたと発表した。〔中略)

犯行は人気映画「バットマン」シリーズの最新作の上映中に行われたが、容疑者は調べに対し、「俺はジョーカー(主人公の宿敵の役名)だ」と供述したとの報道もある。(読売新聞 2012/07/21)

この犯人について冷泉彰彦さんが既に「ジョーカーの呪い」と喝破していますが、私もそう感じました。そして彼は次のように推測しています。

「仮にこの第三作『ダークナイト・ライジング』の希望に満ちたエンディングを見ていたら蛮行を思いとどまったのではないかと思われることです。(『from 911/USAレポート』第583回「呪われたバットマン映画公開、惨劇を乗り越えるだけの内容はあるのか?」)

その3つ目「バットマン ダークナイトライジング」の公式サイトはこちらです。日本では28日からロードショーです。アン・ハサウェイさんがバットウーマンってのも面白そう。