新・幸福論
2012/07/15
2012年3月に出た五木寛之さんの書き下ろしエッセー。サブタイトルが「青い鳥の去ったあと」とあり、あれっ青い鳥って何処にでもいるって話じゃなかったのかな〜と思って読んでみると・・・。あら、まぁ!
・・・
メーテルリンクの「青い鳥」は多くの人が知っていますよね? 私もこどもの頃に読みました。幸せの青い鳥を探し求めていたら、結局は自分の身近にいることがわかったというものです。
でも、メーテルリンクはそう書いていない、というのが五木さんの指摘。
彼は改めて「青い鳥」(堀口大学訳)を手に入れ読んでみると、話の最後が違うことに気づいたのです。じゃ、どういう話なのかというと・・・、それは読んだ人のお楽しみ(っていうか、それを知るためにこの本を読むんだから、ここで書いてしまうと種明かしみたいになってしまいます)。五木さんの指摘は非常に興味深い。
なぜ「青い鳥」が違う話になってしまったのか。なぜ変えてしまったのか。そこには私たちの、幸福というものへの理解や期待あるいは幻想みたいなものがありそうです。
この本では日本にも階級社会が厳然と在ることが指摘されていますし(私も同意します)、出世とか長寿とか、そんなものに纏わる幸せの正体にも迫っています。
ポスト3.11の幸福論として是非多くの人に読んでほしい内容です。とくにお薦め!