マグマ

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マグマ (角川文庫)先の「ベイジン」に続き、真山仁さんの「マグマ」も紹介しておきましょう。
こちらは2006年出版ですから「ベイジン」よりも2年前。扱っているテーマは地熱発電。今読むと、著者の問題意識の幅の広さと的確さ、そしてに追及度に感銘。小説としても実に面白く、あっという間の読破でした。

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再生可能エネルギーといえば、ソーラー発電や風力発電を思い浮かべる人がほとんどです。でも、最近では潮力・潮流発電なども話題に上るようになりました。でも、歴史からいえば、地熱発電は古強格です。

日本は火山国ですから、マグマ溜まりの近くにある帯水層の水をうまく活用できれば、後は水蒸気タービンを回して電気を作り出すだけ。地熱発電なら、火力や原子力のような大がかりな加熱システムを組むことなく温水を使うことが可能です。

よく地熱発電で温泉が枯れる等という反対運動がありますが、くみ上げ後に水を帯水層に戻す限りその批判は当たっていません。また、温水くみ上げが国定公園の自然保護を破壊するという話もありますが、(エコ派の私から観ても)変な話です。そういったキワドイ話も本の中に組み込んでいるところが作者の分析力というか筋の通し方の凛とした雰囲気を感じさせます。

ベイジン同様、ストーリーはここでは不触。登場人物のキャラがなかなか面白いので引き込まれてしまいます。難を言えば、話を作り過ぎた感がなきにしもあらず(苦笑)。でも、「マグマ」が「ベイジン」の助走になったのもよくわかります。地熱発電について知りたい人で、学問的な勉強はちょっとねぇ~という人にはお薦めです。

ところで、
つい先日テレビで、焼酎工場の温排水を使ったコンパクトな発電が紹介されていました。あれはなかなか面白い! 原発みたいな分野に大枚注ぎ込むよりも、有象無象な発電方法の研究開発にお金を注ぎ込んで欲しいと思うのは私だけではないはず。たとえ、そのほとんどが無駄な投資になったとしても、そういう中から明日のヒーローやヒット製品が産み出されるかもしれないのですからね〜。