消えた蓋

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あるプールで排水口の蓋がなくなりました。1つ10キロはあろうかという蓋がプールの底から消えてしまうなんて、ちょっと奇妙な事件です。たまたま起きた事件なのでしょうか。他のプールでは起きていないのでしょうか、ちょっと気になります。

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排水口の蓋がなくなったのは三重県四日市市の市営プール。幼児用プールと流水プールから「長さ1メートル、幅50センチ、厚さ2センチの格子状のふたなど計17枚、約165キロ(約4万5千円相当)がなくなっていた」(朝日新聞 2012/6/12)とのこと。

上記朝日新聞に掲載の写真:吸水口のふたが盗まれたプール=三重県四日市市の市営霞ケ浦プール、同市教育委員会提供


ここ2,3年、道路のマンフォール蓋がなくなったり、工場から電線が大量に消えたりしていることは報じられてきました。でも、プール排水口の蓋というのは初めて聞きました。水中で、かつボルト留めされているはずですから、盗み取ることはかなり難しいと思うのですが、なぜ泥棒はそこまでして手に入れたかったんでしょうか。

それはさておき、この蓋がない状態でのプール運用はきわめて危険です。従来から点検で蓋をはずしたり、あるいは錆びて劣化してはずしてしまったり等で、穴あき状態になり、その穴に遊泳者が吸い込まれて命を落とす事件事故が繰り返されてきたから、です。

プール排水口の危険性は、私が『あぶないプール』で紹介した事例の1つでした。皆さんも、2006年に埼玉県ふじみ野市営プールで起きた悲惨な事件を覚えていらっしゃるんではないでしょうか。

まさか穴を放置したまま四日市市が市営プールを運用開始するとは思えませんが、全国の他のプールでも蓋の盗難が起きていないのかどうか。もし起きているなら、蓋なしでプール開きをするのは絶対にやめてもらいたい。そうでないと、またどこかで悲惨な事件を引き起こしてしまうでしょう。

プールを使う側の者にとっても、プール排水口の管理がきちんとできているのかどうか、チェックしておかないと大変です。よくゾ聞いてくれましたと自信もって安全だと説明するプールならいいのですが、問われたら言い訳したり誤魔化すようなプールには決して入ってはいけません。それがプールで身を守る最低限の対処方法です。