この国は壊れている 2012年4月メモ

.opinion 3.11

ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く原発の再稼働を急ぐ民主党政権。全国にまき散らそうという放射性ガレキ。惨事便乗型資本主義の正体を明らかにしたのはナオミ・クラインですが、まさにガレキ問題は教科書通りのそれ。その問題の本質を伝えようとしない御用メディアには呆れます。政治も報道もホンマにこの国は壊れていますわ。



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政権民主党の愚かさ極まれり。
まだ国の事故調査委員会の報告書は出ていない。だから、建前上では東電福一原発の事故原因は明らかになっていない。地震で配管が壊れたのか、津波による電源喪失がきっかけだったのか、それとも製造段階からの欠陥とか別の原因なのか。原子炉の爆発でいったいどんな放射性物質がどれほど・どこまで・どんな風に飛び散ったのか、未だに本当のことは曖昧です。

そんな状況の中、くだんの事故調がホンマにまともな報告書を出すかどうかも不明なのに、それすら待てずに政府が原発再稼働を進めるのは奇妙です。よっぽど財界や原発マフィアからの圧力が強いのでしょう。民主党は小沢の無罪確定前に動かないと何もできなくなるのを怖れているのかしらん。枝野某の体たらくさも目に余る。「ただちに再稼働する気はない」くらい言ってみて下さいな。

圧力といえば、先日テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」の古館キャスターが原子力ムラからの圧力云々を暴露しました。それを受けてテレ朝当局は真偽の調査に入るのが筋なのに、社長曰く「圧力はなかった」とのこと。こりゃ、誰がみても「圧力かけた」ことを認めたのと同じ。滑稽至極。わかりやすさが身上なのか、あまりに芸がない。

それにしても、未曾有の大災害を引き起こした東電幹部にいまだ刑事罰を問う動きがありません。不思議ですね〜。まともに危機管理対応できなかっただけでなく、事故データを隠蔽した政治家や官僚、ウソ八百の御用学者にもお咎めなし。そして、そんな犯罪者たちがいまだに原子力行政を担い、原発再稼働に勤しんでいることに批判的な報道がない。すべて、この国の壊れようを顕していますわ。哀しいねぇ。

御用メディアといえば、放射能ガレキ問題でその特性を全力で発揮中。「除染」で利権の味をしめたのは土建業界でしたが、それじゃ儲けが足らんということなのか、全国津々浦々にガレキをばらまくことで、土建だけでなく運搬業界やゴミ業界にも甘いモノを持ってこんかいや、というのがこの問題の根幹。当然、安全性なんか関係なし。

ガレキを迅速確実に処理したいなら、なるべく近隣の処理処分施設を使うなり、近場に新施設を設ける方がベター。だいいち放射性廃棄物なら低レベルであっても法的には隔離保管が基本です。ましてや高濃度なら東電原発周辺の土地を国が買い取って処理処分場を確保する方が筋が通ります。それを遠く離れた場所まで運ぶなんてのは、全国の運搬業界やゴミ業界におもねる動きに他なりません。

要するに、惨事便乗型資本主義。ガレキ問題とはチリやイラクで実験済みの便乗型ビジネス(概念)を今日本で展開中ということ。ちなみに、上に挙げた本の帯にある「3.11以後の日本は確実に次の標的になる」という堤未果さんのフレーズは鋭い。この国が国民1人1人の命を軽視しているのは311でも明らかな通り。被災者の復興のためなどという美辞麗句に要注意。皆さんもゆめゆめ御用メディアに幻惑召されるな。