京都五山の送り火のたいまつ

.opinion 3.11

さてまたメディアリテラシーを問われるような怪しい報道が流されました。もともと大文字などの京都の送り火には京都の松を使うのが通例ですから、陸前高田の松という話が出た時点で変だ・おかしいと考えるべきですね。
(追記)8/12の16時現在、 分析したら放射性セシウム検出で送り火使用を断念というニュースが流れていました。ホンマお騒がせな話。

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調べてみると、大文字の送り火に陸前高田の高田松原の松を使おうと画策した人物がいました。その人物は京都側の了解もなしに勝手に陸前高田側に依頼し松を集めたようです。その上で京都の大文字保存会側に使用を打診しましたが、松に放射線被曝があるのではないかという懸念で保存会は受け入れを中止。それを京都市長がデータもなしに「恥ずかしい」等と言い出すものだから、事態は余計に混乱。結局一部の胡麻木を受け入れるという顛末です。突飛な提案に関係者一同が翻弄されてしまったというのが真相では?

ここで問題なのは、陸前高田の松に放射性物質による汚染があったのか・なかったのか。東電福一原発から放出された放射性物質がどの辺の地域まで汚染されているかは地震学者・早川由紀夫氏の汚染マップからわかりますが、たしかに陸前高田も汚染から免れているとはいえません。保存会側が心配するのも理由がないというわけではないようです。

(クリックで大きい画像が出てきます)

悔やまれるのは、なぜデータに基づいて判断できなかったのか。きちんとデータを出して議論すれば、国の「基準」はともかく汚染しているものは使いたくないとか、全く汚染されていないのであれば問題なしという判断もできたはず。でも、データのないところであれこれ云っても水掛け論でしかありません。

この事件は大文字の送り火を震災津波原発問題に利用しようとした「芸術家」やその関係者を保存会側が受け入れなかった(あるいは嫌った)程度の話。放射能汚染についてはデータが出てこない限り判断を留保すべきところを、センシティヴな話題であるため、騒いでナンボのメディアが飛びついてしまったということだと私は考えます。お騒がせというしかありません。