NHKは東電のスポンサー?

.opinion 3.11

NHKのあまりの御用メディアぶり。民放でもないのにどうしてなのかとネット等で疑問噴出。週刊金曜日857号でその答の一端が見えてきました。NHKは、東電などのスポンサーだったのです。

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週刊金曜日のくだんの記事は丸山昇さんが書いた「100億円超の東電債持つNHKが 東電を批判できるのか」。そこで紹介されていたのはNHKの財務諸表にある資産内容。私もNHKのHPを覗いてみましたが、流動資産の有価証券1059億円のうち、東電債などの事業債が約71億円。固定資産2188億円のうち長期保有有価証券として、東電債などの事業債が846億円。流動資産+固定資産の合計で、東電債などの事業債は917億円(平成22年度)。丸山さんの数字とは少し違いますが、まぁいいとしましょう。

丸山さんはその事業債の内訳について、

東電145億円、中電68億円、関電65億円、中国電51億円、東北電45億円・・・

と説明しています。なぜ、NHKは東電などの電力会社の社債を何百億円も買い込んでいるのでしょう?

もしあなたが資金運用者だとして、決して赤字にならない会社があったら、そこの社債は買いでしょうか?

普通ならカイ。だって赤字にならない・つまりいつも黒字なら債券価値は高く、債券利息も確保できます。今のような預貯金金利がゼロみたいな時代なら尚更です。株式は株価の変動が大きく、万が一の場合紙屑になり危険ですが、債券なら会社が潰れない限り満期償還まで待てば額面は大丈夫と考えるのが普通でしょう(私はフツウだとは思いません、念のため)。

でも、そんな魔法のような会社ってあるんでしょうか?
日本にはあったんです、これが。電力会社がそれでした(過去形で云う理由は省略)。

電気事業法第19条第2項には「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」 との下りがあります。どういうことかというと、電気を作るのにかかった原価に電力会社が適正と考える利益を上乗せして電気料金にしていいよ、ということ。ね、絶対に損は出ないでしょ。呆れかえるような、国家保証つきの凄く有り難い規定ですね。

原価のチェックはどうするのかといえば、経産省がちゃんとしているというのですが、その方法を尋ねた自民党・河野太郎議員に対し、(天下りを各電力会社の副社長に送り込んで)電力会社の決算と見比べて、かけ離れたものにならないようにチェックしている、と答えたそうな。なんでそれが原価チェックしている理由になるのかさっぱりわかりません(唖然)。河野議員曰く、これが世界一高い日本の電気料金の秘密だということです。当たってますね、きっと。

そんなこんなで、本来の原価の上に巨額の広告宣伝費・地元対策費・大学対策費・御用学者育成費・政治家飲み食い・子弟子女就職対応なんでも対策費などをてんこ盛りにした「原価」に、3%の「適性」利益率を乗せて、この国の電気料金は決められています。こんな仕組みで電気料金を国民から徴収できるのですから、NHKがそのおこぼれを取りに行こうとする気持ちもまぁわかります。品がないけどね。

つまり、NHKが資産運用や預貯金代わりに電力会社債を数百億円も買っていたのは、おそらく(NHKが考える)事業の安定性、確実性に加え、国が法律で補償する利益上乗せのカラクリを知っていたからでしょう。

でも、報道機関が特定の民間会社や特定の業界の事業債を大量に保有するというのは、報道の公平性や国民の知る権利と相容れない事態です。実際のところ、東電ほか電力会社の推進する原子力政策に反する報道をすると、NHK自身の資産運用にマイナスとなってしまいますから、ブレーキが働くのは当たり前。これでは、まっとうな報道ができるわけがありません。

民放はスポンサーや広告代理店を通じて電力会社や関連企業の顔色伺いでしょうが、NHKに至っては自社財産伺い。自社財産を減らさないように報道をコントロールするというのなら、民放より醜悪。NHKの群を抜く御用メディアぶりの理由には、これもありますね。確信。

でも、根源的な疑問が1つ。原発で大事故が起きたら自らの資産が吹っ飛ぶのに、NHKは全くそんな事態を想定していなかったのでしょうか? だとすると、NHKそのものが原発安全神話にどっぷり漬かっていたわけで、それこそ報道機関としての適性に欠けていたのでは? いや、大事故が起こったって、メディアが結集して電力会社を守る、というつもりだったのでしょうか?

一度大事故が起きたら世の中がオシマイになる、そんな原発を抱えている電力会社の債券は「果ての国」の理屈でモノゴトを評価すべきでした。だって、そこはリスク評価なんか何の意味もない世界なんですから。

(追記)追加情報あり −> こちら