放射線線量計、19000個を倉庫に放置?

.opinion 3.11

日本国内で品薄状態となっている放射線線量計・測定器。これを4万台以上、米・加・仏・露・英・芬蘭・韓など諸外国が日本に提供してくれたという。しかし、どうやら19000個くらいは成田空港の倉庫に1ヵ月以上眠っているらしい。

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参議院・厚生労働委員会(2011年5月19日)で、社民党の福島みずほ議員が、諸外国から提供された放射線線量計・測定器の件で質問し、政府参考人の武藤義哉氏(外務大臣官房審議官)が答弁しました。

3月20日〜4月12日の間に米国から31000枚、カナダから計5154個、フランスから計560個、ロシアから400個、英国から249個、フィンランドから50個が届き、東京電力・防衛省・消防庁・農水省・福島県・原子力被災者生活支援チーム・茨城県に配布しました。また、4月29日〜5月4日の間には米国から2000個、韓国から20個が届き、福島県・厚労省・農水省・原子力安全保安院に配布しました。

というのが、武藤氏の答弁内容の概要。
しかし、福島みずほ氏は「本当に全部配布したのですか。諸外国から届いた放射線線量計が、成田(空港)の倉庫に1万9000個、留め置かれていると言われていますが、これは事実ですか?」と詰め寄りました。すると、武藤氏はしどろもどろ状態となり、配布したのではなく、分配先を決めただけで、いつ何個どこに送ったかは知らない、と白状しました。

また、その後に質問を受けた中西宏典氏(経済産業大臣官房審議官)も、成田空港倉庫の19000個の現状について「把握していない」と白状しました。

諸外国から提供された放射線線量計を、成田の倉庫に入れっぱなしにして1ヵ月以上もほったらかしにするなんて、あまりにもデタラメな話ではないでしょうか。政府は放射線量をあちこちで測定されたら困るので、配布せずに放置しておくつもりだったのでしょうか。国民の健康のことなど全く考えていないし、提供してくれた諸外国にも失礼な話ですね。必要な部署にきちんと配布することが大切なのは言うまでもないですが、もし余るようなら配布を希望する学校・自然保護団体・消費者団体などに無料配布することを提案したいです。

ちなみに、参議院・厚生労働委員会(第10号 平成23年5月19日)の委員会議事録はここです。福島みずほ氏の質問は最後の最後ですョ。

<追記> こういう動きは、大新聞やTVではなぜか登場しません。登場しない限り、良識ある議員の仕事も、多くの人々に知られないままになってしまいます。国や福島県の原発対応を批判する南相馬市長や二本松市長の話も、ほとんど報道されません。今この国では大本営発表がまかり通り、国にとって都合の悪い話は封じ込められる、そんな感じでしょうか。