書きたいことは山ほどある

.opinion 3.11

書きたいことは山ほどありますが、書き出すと何かまとまりがつきません。そうこうするうちに時間がどんどん流れていきます。大上段構えはキツイので、小手先ツンツンを少々。

自民党の河野太郎議員が東電賠償は東電にきちんとやらせるべき、とクレームをつけていました。その東電賠償の枠組みが近々決まるらしい。本来なら東電の財産保全(財産差し押さえ)をして話をつけなければならないのに、国はそれをしない。その間、東電はせっせと財産隠しに勤しんでいるはず。東電組合なんて事故後に40数億円で銀座にビルを購入しましたが、最初みた報道記事が今は消えています。なぜ? 誰かの圧力でしょうか。

そーいえば、HPを閉鎖して雲隠れ中の加納時男さん(東電副社長から自民党国会議員)、河野太郎さんに対して「原発反対なら社民党へ行け」と新聞記事で云ってますが(朝日新聞 5/5 )、未だに反省がないのが哀れ。これまた出典元の朝日新聞のサイトでは検索しても出てこない。対談だからですか? 相変わらずケチだな。

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広島長崎の原爆被害について調べてみると、如何にして被害を小さくみせるかということに米軍が当時腐心していたことがアリアリ。コントロール(比較対照群)の集団自体が被曝しているので被害は過小評価されてしまうし、被曝症状の範囲も実に狭い。広島長崎の被害を正確に評価しなかったツケが今福島で出てきたような感じ。

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チェルノブイリ原発事故もそうです。御用学者だけでなく、原発推進側の識者やTV芸能人に至るまで、被害は「こどもの甲状腺がんだけ」と解説します。これは旧ソ連のインチキ報告書に基づく見解みたいですが、実態はそうではなく、被害はもっと広範囲だと独立系研究機関は指摘しています。二次情報源だった雑誌「技術と人間」は既に休刊で、一般向けにきちんと解説したものがちょっと見つからないのが厄介。

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放射線被曝研究の歴史を辿っていくと、低線量被曝を訴えてきた人物として、ロージー・バーテル、アリス・スチュアート、ジョン・ゴフマン、アーネスト・スターングラスその他が出てきます。それぞれ時代を背負って、被曝を強制する側と戦ってきた研究者。中にはシルクウッドさんの二の舞になりかけた人も。彼らの業績を綴った本に、「核の目撃者たち」(フリーマン 1983)があります。訳は中川保雄・中川慶子ご夫妻。中川保雄さんといえば、名著「放射線被曝の歴史」(技術と人間 1990)の書き手です。私にとって、どちらも貴重な本です。

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70年代後半に放射線衛生工学をかじりました。当時の教官が二言目にはIAEA(国際原子力機関)の権威づけを持ち出すのに閉口。でも、今でも残っている知識が、アララとトリボンドーの法則。後者は細胞の放射線に対する感受性に関するもので、細胞分裂の頻度が高いほど、将来分裂する数が多いほど、そして形態・機能が未分化なほど影響が大きいというものです。乳幼児やこどもには放射線被曝の影響が大きいというのはそういう理由。日本の放射線医学関係者は、そんな話はどうでもいいみたい。

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少し前、放射線被曝によるがんの致死率が話題になった時、東大のセンセだったか、2人に1人はがんで死ぬんだから、被曝で1が1.05になったからといって大した問題じゃない、みたいなことを云っていました。これを聞いて納得した人がいたら驚きです。医学とか福祉とかの根幹を否定するような言い分だから。おうおうにして統計は1人1人の命を粗末にします。要注意。そのことに気づかない学者は意図しなくても悪魔の手先です。

それにしても、
いくらTV新聞が平穏を装っても、東電福一原発3号炉の炉心温度はどんどん上昇中。非常時なのに平常時と思い込んでいる人が多いとまたしっぺ返しをくらいそう。
(後記)温度の件、燃料プールは間違いでした。