浜岡原発停止はとりあえず嬉しい。が…

.opinion 3.11

浜岡原発停止を云いだした菅政権はマルですが、何か素直に喜べません。「政治判断」だとか、「原発推進は堅持」だとか、脱原発とは話が違い、ちょっと筋が通らない。

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海江田万里経済産業相は「浜岡原発は地震が発生する可能性が非常に高い。電源喪失、建屋の密水性などいくつか気になる点があった」と説明していますが、それなら他の地域の原発だって似たようなものじゃないですか。浜岡を止めるのであれば他の原発も止めて技術基準の見直しから始めないと、安全だと言い張る推進側だって筋が通らない。

また、「私どものエネルギー戦略、政策は原発を堅持する」(仙石官房副長官)わけですから、国が脱原発に舵を切ったというわけではありません。むしろ、「浜岡原発は特別なケース」(菅総理)として、浜岡原発だけ別扱いを仄めかしています。彼らの云う話にもし整合性があるとしたら、それは語られていない処にあるような気がしてきました。で、あれこれ考えてみました。

日本の電力会社のうち、原発を持たないのは沖縄電力だけ。なぜ沖縄電力だけなのか、昔からいろいろとその理由が噂されてきました。曰く、沖縄の電力需要が少ないから原発のような巨大な発電能力はいらないとか、沖縄の地理的状況から原発が作りにくいとか、そんな話です。電力需要が少ないのは沖縄だけではなく北海道でも四国でもいっしょですし、地理的事情なんてのはどうもウソくさい。どれも本当の理由とは云いにくい。

他に理由はないのか。今回の浜岡原発停止を聞いて、思い当たる理由が1つ。沖縄と浜岡との共通点、つまり米軍基地の存在です。

浜岡原発は静岡県御前崎市にあります。地図を見ればわかりますが、浜岡は静岡というより、むしろ神奈川寄り。その神奈川県は沖縄に次ぎ2番目に米軍基地が多い処。沖縄が海兵隊の駐留地であるのと対照的に、厚木、キャンプ座間、横須賀等、米海軍は神奈川に集中しています。

今回の東電福一原発事故で米海軍はどう考えたのでしょうか。いくらトモダチ作戦を遂行したところで、彼らが考えるのは米軍の任務遂行が第一です。なのに、日本の原発はきわめて危険だ、おまけに東海地震の危険性は高いし、それに対する日本の対応にも不満足で、原発関連企業は技術的にも問題が多く、関連分野学者のデタラメさもよくわかった、お手上げ状態でフランスやアメリカの力を借りないと上手く対処できないくらいの体たらく。こんな状態では、いったん事故れば米軍基地も危ういし、米国の防衛戦線維持に重大な支障を来すと考えたのかもしれません。とくれば、浜岡原発を止めないと大変なことになると思ったのではないか。それで日本政府に、ハマオカ ヲ トメテクレといったのでは?(全くの推測です)

政権幹部が「政治判断」と云ったのは、米軍からの要請を受けての判断のことだったのではないか。まぁ米軍の虎の衣であろうとなかろうと原発を止めるのは良しとしなければならないのかもしれません。でも、新たな堤防を作ったら安全宣言して、いずれ再開なんてストーリーでは困りもの。永久に止めるための何か良い案はないものでしょうかねぇ。

なぜ浜岡原発を止めるのに他の原発はオッケイなのか、浜岡を止めても原発推進堅持とはいったい如何なる根拠なのか、東電福一原発の悲惨な経験を活かせないのはいったい何故なのか。皆さんも是非考えて下さいませ。何かこれぞというのがあれば私にも教えて下されば幸いです。