日本産科婦人科学会のトンデモナイ「ご案内」

.opinion 3.11

日本産科婦人科学会は、母乳による乳児被曝についてトンデモナイ見解を5月2日に公表しました。母乳が汚染されていても「赤ちゃんの健康被害は現時点では起こらない」というもの。何年か後に甲状腺がん等が増えても、「現時点での健康被害はない、と云っただけでしょ」と居直るつもりでしょうか。ホンマにこの国の学者連中ときたらトンデモナイ人たちの集まりですねぇ(溜息)。

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4月21日に市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」が、母乳を調べたら柏市などで最高36.3ベクレル/kgの放射性ヨウ素が検出されたと公表しました。すると急遽厚労省も23名の調査を行い、7名の授乳婦人の母乳から放射性ヨウ素を検出したと発表しました(4月30日)。そのベクレル値は、8ベクレル(水戸市)から2.2(下妻市)だったとのことです。

日本産科婦人科学会は「放射性ヨウ素(I-131)が検出された母乳に関し、乳児への影響を心配しておられる授乳中女性へのご案内」(平成23年5月2日)を発表し、その中で当時の水道水中のヨウ素131のデータを示しながら、母乳中の放射性ヨウ素が水道水か食べた野菜からの由来であることを推察しています。そして結論として、「今回調査された範囲の放射性ヨウ素を含んだ母乳を与えても赤ちゃんに健康被害は起こらないと推定される」としました。

「ご案内」中で、産科婦人科学会は「この婦人の母乳を毎日800mL飲んだ乳児は3月24日~4月25日 間に放射性ヨウ素を約400ベクレル摂取することになり、この間の乳児甲状腺被曝量は400×0.0028=1.1mSv」とし、「この母乳を連日飲んでいた赤ちゃんの健康被害は現時点では起こらないと推定される」と続けています。こりゃいったい何でしょうか? 何の根拠も示されていません。

現時点では起こらない、でも将来は起こるかも知れない、そんな意味だとしたら、この間当局によって使い古されてきた「ただちに」の変形でしかありません。つまり、ただちに健康に影響はない、でも将来はわからない、という例の問題発言です。

ちなみに、ICRPの被曝基準は一般人で年間1mSv(自然放射線以外の放射線被曝)ですから、このままでは、たった1ヶ月でそれ以上の数値になっています。母乳って1ヶ月だけで終わりなんですか? また、ICRP基準は外部被曝に関するものですから、体内からの被曝なら何倍もの危険率を見積もらなければなりません。ましてや相手は乳児ですから、1mSvの被曝を安全とはとても云えません。

小さなこどもを持つ親やこれからこどもが生まれてくる親にとって知りたいことは何か? いますぐどうのこうのもそりゃ問題ですが、こどもが成長して大人になってどうなっていくのか、そのことでしょう。それなのに晩発影響には一切触れず、「現時点では起こらない」とはぐらかすのは政治答弁と全く同じ。

日本産科婦人科学会はいったいどんな根拠で母乳の安全宣言を行ったのか? できの悪い放射線医学者か厚労省役人の作文をそのままコピーしてでっちあげたモノなのでしょうか。こんな人たちに私たちの健康とか安全をまかせてはいけません。