学校は放射線管理区域なのか!

.opinion 3.11

4月19日、福島第一原発周辺の学校での被曝基準なるものが文科省から発表されました。1時間当たり3.8マイクロシーベルト以下だったらOKとのこと。…絶句しました。これは「放射線管理区域」以上の指定ですよ!。

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放射線被曝に関して、法律や基準がいろいろあります。なぜたくさんあるのかと言えば、一般人と放射線被曝労働者を区分けし、また作業内容によって被曝の大きさを別々に定めているからで、安全基準というよりも被曝を強制するための、きわめて特異なキジュンになっています。繰り返しますが、決して私たちの健康や人体への安全性を考慮したものではありません。

私たちが知っておくべきは、年間1ミリシーベルトの被曝を超えるようなキジュンには何か思惑があるのだなと警戒することです(年間1ミリシーベルト (mSv) だって問題ありですが、それはしばらく横に置いておきましょう)

今回の学校の基準はその20倍の年間20mSvを前提にし、それをいじり回して学校では3.8μSv/hというキジュンにしたものです。年間20mSvがどれほど高いか。たとえば労働安全衛生法上、放射線管理区域の被曝水準が3ヶ月で1.3mSv(年でみると5.2mSv)を超える所とされていることから考えるなら、年間20mSvはその4倍! つまり、放射線労働現場よりも4倍高い被曝をこどもに強制することになってしまいます。これが義務教育ですか? 放射線被曝強制教育じゃないですか!

一般に放射線被曝の影響は、成人よりもこどもの方に強く出ることが知られています。だから、1mSvよりもっと厳しい基準を学校に当てはめるのが筋でしょう。なのに、逆に20mSvと高くするなんて滅茶苦茶です。この基準設定は犯罪といってもいい。こんなのをポイと出してくる当局は、まさに被曝を強制する側の論理で動いています。

それなのに、「基準ができたので、学校教育が進められる」等と応えた福島県教育長の言い分は、あまりにもおかしい。文科省が決めたキジュン以下なら教育長としての責任は問われずにすむから、文科省にありがとう、という意味なのでしょうか。人としての倫理観があるのか、疑問に感じざるをえません。こどもの命や健康を第一に考えるなら「こんな危険なキジュンは受け入れられない、抜本的な対策を出せ」と云うべきところでしょう。

この件について、福島県の人たち等が国に基準根拠の説明を求めた会合がYouTubeに出ていました。その中で、国が私たちの健康についてなど考えていないこと、原子力安全委員会がいかにデタラメか(ブーシットか)、よくわかります。このビデオ映像の見所は別途紹介します。

とにかく、こんな学校被曝キジュンは危険です。現在の放射線被曝の実情では、国はこどもや若年層の健康を第一に考え、原発の事故現場からできるだけ遠くに避難や疎開させるような方策を早く打ち出せと強く願う次第です。