宝塚市の水道水から病原性原虫が出た

Water

2004年12月25日付けの毎日新聞インターネット版によると、「兵庫県宝塚市水道局は25日、市北部の玉瀬浄水場(同市玉瀬)で処理した 水道水から病原性原虫「ジアルジア」が検出された、と発表」し、「市には24日夕、検査機関から検出の連絡があったが、住民 への広報は丸1日後で、市は対応の遅れを認めた」とのこと。検査のサンプルが24日朝として、浄水場から蛇口までの到達時間が1日前後だとすると、既に市民の体の中を通過した後の事後発表ですね。…


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病原性原虫「ジアルジア」。以前にも説明しましたが、Giardiaの英語読みは「ジアーディア」、ドイツ語読みなら「ジアルディア」ですから、「ジアルジア」は和製読みというべきところでしょうか。一昔前の生物学の知識がある人なら、「ランブル鞭毛虫」の方が通りがいいかもしれません。

新聞報道には検出された個体数のデータがありませんので実態の程度は私にはわかりません。宝塚市水道局は「十分な塩素濃度があり、ジアルジアは家庭に届くまでに死滅すると判断」したようですが、「水道で行われている通常の塩素消毒程度では死滅しない」と考えるのが妥当です。今回検出されたのは浄水場で塩素処理した後の水からであり、大腸菌群のように塩素ですぐに死滅するのではないことが明らかです。「家庭に届くまでに死滅すると判断」した根拠はいったい何なのか、教えてほしいくらいですね。

さて、24日に検査機関から連絡があったということは、24日の朝以前のサンプルからの分析結果で「ジアーディア」が出たということ。それを1日後の25日に発表したのですから、既に市民は水道水を飲んだ後の話になります。これでは、本当に危険な事態には対処できません。検出されたのが「ジアーディア」ではなく「クリプトスポリジウム」だったら、被害はどうなっていたのか。

こうした病原性原虫が水道水源に入ってくることに対し、水道当局から検査体制の強化や告知・報道の徹底の実施などが繰り返しリップサービスされてきました。でも、その実態は今回の宝塚市のようなものであるということを再度確認しておかねばなりません。

病原性原虫の「ジアーディア」も「クリプトスポリジウム」も熱には弱い(沸騰水で簡単に死滅する)ので、やはり、私が従来から主張しているように日常的に「なまみず(なまの水道水)は飲むな」を徹底することが自分の身を守る最善策。今回の宝塚市の「事件」は、日頃からその習慣をつけておく大切さを再実感する出来事でした。

(後日談)
再検査で検出せずとの報道あり