グローバル
2025/01/12
次のお題はグローバル。昨年来あれこれ考えること多しの、シビアな話を1つ。
この国は1990年代のバブル崩壊でこの30年間ずっとデフレ状態。その間世界的なインフレで他国の物価は大きく騰がってきました。でも日本の物価だけ浦島太郎で異常だったことは知る人ゾ知る話。加えて最近の為替変動で日本円はどんどん円安方向、今現在157円ちょい(ドル円)。日本円換算でみると海外の物価の約6割程度になっているような感じです。海外目線で見ると、日本は安い!ということなるのは宜なるかな。
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物価を測るモノサシはいろいろありますが、そのうち1つ購買力平価は2024年1〜3月に1ドル93.7円だったので、実際の平均為替レートからみると約4割安。つまり、日本で約93円の値札がついているモノはグローバル基準でみれば157円くらいの価値があるということ。「安い日本」を数字でみるとそうなるのです。(出典は第一生命経済研究所 熊野英生氏の資料)
グローバルに物資やヒトが流通する現代において、同じようなモノに二重価格があれば安い方が買われるのは理の必然。40年近く前に日本人が香港などに買い物に出かけたのと同じこと。
だって外国人目線でみれば、食費や宿泊費は割安だし、高級品や宝飾品も割安に感じられるのでその手の店に殺到するのは当たり前。昨年末、京都のデパートに入ったら高級時計店前は外国人の長蛇の列で、さもありなんと思った次第です。
ここ数年インバウンドが多いのは、第一に「日本が安い」からで、その上治安が良くて安全だし、食事も美味しい、というのですからもう云うことはありません。
ついでにいえば、日本の株式市場で売り買いされる資金の半分以上は外資系。だから、株は割安感いっぱいで大きく買われます(外資は買い越し、国内勢は売り越し)。昨今の株価高騰を日本企業が見直された・生産性が向上したとか、そんな話をする人は状況読み違え。為替が円高に大きく振れれば株価もすぐにダウンするでしょうし、円安でなんとか命脈を保っているオワコン大企業はヤバそう。
グローバルで商売している会社の製品はドルで値付けされますから、日本価格は為替でアップダウンします。日本のFUJIFILMの例でいえば、海外で1700ドルのカメラが日本では現在28万円ちょい。生産は海外、販売も海外中心という事情なので日本の消費者は日本製品なのに輸入コストまで払わなければならないのです。イヤな話ですが、これがグローバルというものの正体です。

昨年12月に飲んだ右のシュバルブラン2004は熟成して完璧で文句なし(同年のグランヴァンよりエレガントでしたが余韻は比較的少)。ところでワインの値段は国際価格(グローバル)。20年前にこれを買った時には2万円程度だったのに今なら(見つけたとしても)8~10万円超。レストランで飲もうとしたらその2倍3倍ですから、私にはまず無理(笑)。
グローバル化は続きます、約20年前に世界がフラット化すると指摘した識者がいましたが、その時はプラス面が強調され、マイナス面にはあまり触れていなかったような気がします。
この国では最近物価が上がってきたので生活が苦しいという声が飛び交っていますが、それは安い日本価格が上方修正に入ったということ、グローバル化のプラス面だけ享受していた日本が異常だった、やっと正常に動き出したという見方もできます。
短期的には生活が苦しくなるかもしれませんが、物価上昇は日本が生き残るにはどうしても通らざるを得ない道。そして、物価だけでなく賃金も上がることを強く期待したいものです。