都内40万世帯で水道水が赤茶色

Water

2003年 8月22日、YAHOO配信の読売新聞の記事によると、東京都東部の広い範囲で水道水が赤茶色に濁る被害が発生したとのこと。原因を追っていくと、水道サービスの背後にあるアヤウサが見えてきます。

 今回の水事故の原因は、1948年に埋設した水道管が老朽化して破断し、流量が変化し、溜まっていた鉄サビが一気に流出したと都水道局では説明しています。影響は足立、江東、江戸川の3区、約40万世帯に及ぶということですから、破断した管は幹線系統かもしれません。

  こういう事故はたまたま起こったものでしょうか。いいえ、違います。起こるべくして起こった事故というべきです。
 現在、大都市の水道管の老朽化はかなり深刻なレベルで、いつ破断してもおかしくない場所が多いことをまず認識して下さい。水道管を埋めて40年50年以上という箇所もかなりあると聞いています。したがって、管の破裂・破断は水道サービスの歴史が長い地域では他人ゴトではありません。
 この老朽水道管を放置しておくとどうなるか。今回の事故のように水道管が破裂破断して、給水できなくなります。じゃ、ちゃんと補修しておけばいいではないかと思われるかもしれません。ところが、お金がないために(お金をふんだんに使えないために)、管の検査や補修工事あるいは交換工事は後手後手に回っているのが実情で、起きてしまってから「しまった」とか「やっぱり起きたか」というようなことになるだけです。
 水道管トラブルは短時間で復旧できれば一時の不自由で済みます。でも、規模が大きいと面倒です。また、病院や工場など毎日水が必要な所では、たった1日でも大きな影響が出てくるかもしれません。
 私たち庶民はこういう事故を黙って受け入れるしかないのでしょうか。手はいくつかあります。まず、こういう事故はこれから頻繁に起こることを肝に命じ、日頃から飲み水の確保をしておきましょう。具体的には家族全員が2,3日使う分の飲み水くらいは常にストックしておくのがベターです。こういう防備は地震などの自然災害の時にも有効です。さらに可能なら、雨水を貯める装置を各家庭に用意しておけば、1日分くらいのトイレ用水に困ることはないでしょう(雨水をバケツで便器に流し込めばサイフォン効果で水が流れます)。
 次に、補償についても考えてみて下さい。水道水という製品の欠陥ですから、飲めない水道水にお金を払う必要はありません。使えなかった日数分を水道料金から引いてもらいましょう。当局は不可避な事故なので払い戻しはできないと抗弁するでしょうが、おとなくしく引き下がると、なめられますし、当局にとっても次の事故防止に取り組もうという緊張感に繋がりません。
 いずれにしても、私たち庶民が黙っていると当局の責任はうやむやにされ、事故は繰り返されるでしょう。
 たかが水道水くらいでガタガタいうなという意見もあるかもしれません。でも「たかが水道水」に日頃から関心を払っておけば、「何か」が起きた時に、あなた自身が受ける被害を最小化できるのです。 ’