socialからphysicalへ変更したWHO

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今年2月くらいから出回っているソーシャル・ディスタンスとかソーシャル・ディスタンシング。日本では社会的距離なんて訳しているところが多いのですが、これでは何のことだかわからない。
ソーシャルダンスを社交ダンスと訳している伝統を踏まえ、私は社交距離と使っていましたが、それでも曖昧。そんなことを考えていたら、言い出しっぺのWHO(世界保健機関)がこの用語を止めてフィジカル・ディスタンス(物理的距離)にするらしいとのこと。たしかにこちらの方がわかりやすい。

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もともと、ソーシャル・ディスタンスを云いだしたのはWHO。今年1月頃、WHOは中国からの情報を鵜呑みにして「新型コロナウイルスはヒトからヒトへは感染しない」と説明していました。その後、「新型コロナウイルスは人から人へ感染する」ことが明らかになると、次にWHOが持ち出してきたのが、ソーシャル・ディスタンシング(social distancing)。要するに、感染を防ぐには他人との距離をとれ、ということ。

どれくらいの距離が必要なのか。いろんな研究から飛沫感染を防ぐには6フィート(約1.8メートル)の間隔が要るということになり、日本では切り上げて2メートル(欧米のフィート尺ではイメージできないから)。

でも、ソーシャル・ディスタンスというのはわかりにくい。というのも、社会的といえば人と人との繋がりをイメージしてしまい、日頃のお付き合いも止めるという意味に受け取る人が出てきそうだから。日本でも訳出に困ったのか、直訳で「社会的距離」とする新聞テレビあり、そのままソーシャル・ディスタンスとカタカナのままにするところありで様々。

日本にはソーシャルダンスを「社交ダンス」とする文化があるのですから、ソーシャル・ディスタンスは「社交距離」にすればいいと思っていましたが、これでも分かりにくい。一番しっくりきたのは「対人距離」という訳語。そんなことを思っていたところ、昨日外国のニュースで本家WHOが用語を変えるという話を知りました。

曰く、WHOはソーシャル・ディスタンスを止めてフィジカル・ディスタンスにしたいとのこと。ソーシャル・ディスタンシングと云ってしまうと、愛する者から離れてしまうことを連想してしまい、(それによって生み出される)隔離状態は精神衛生上まずい、今ほど社会的繋がりが大切な時はないから、という理由です。

The reason? The term “social distancing” can imply a sense of disconnection from loved ones. And at a time when being physically isolated from others can take a toll on mental health, the organization wants to emphasize how critical it is for people to stay socially connected.

ということで、今後はソーシャル・ディスタンスという用語を止めて、フィジカル・ディスタンス。つまり、メジャー(もの差し)で測れる距離を保ちましょう、ということ。意味するところは同じでもずっとわかりやすくなりました。日本語なら、そのまま「物理的距離」か、あるいは「対人距離」でいいのではないでしょうか。