スピッツァーと米山さん

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出会い系サイトでの援交で新潟県知事を辞職に追い込まれた米山隆一さん。メディアではあれこれ論評していますが、倫理的に問題ありでも、不倫でもないし刑事罰もつきません。シラクだったら「それが何か?」と斬り返されそうな話。なのに、援交話に盛り上がる「健全な」この社会に何か奇妙な違和感を感じるのは私だけではないでしょう。

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米山さんの経歴によると、灘校から東大理三(医学部)でお医者さん、おまけに弁護士免許まで持っています。そんな最高水準の学歴と免許を持つ人物が知事をやっている一方で、出会い系で援交なんかしていたのですから、ちょっと庶民の理解を超えています。

ただ、東大の理三へ行くような人物は自分の能力が最高であることを証明したいからという者が少なからずいるらしく、必ずしも医者になりたいというわけではない、そんなことを和田秀樹さんだったかどこかに書いていました。

米山さんの場合、どうだったか。彼が目指していたのは医者ではなく、3歳の時に田中角栄に憧れて政治家になることを目指したらしい。曰く、政治家は落選することもあるのでその時に食いっぱぐれないように医者と弁護士の免許を取っておいた、とのこと。なんとまぁ、用意周到で計画的な人物であることよ。そんな人物がなぜ援交なんかと思ってしまいますが、心の闇は深い。


ところで、私が話題にしたいのは別のこと。米山さんの話が出た時頭に浮かんだのはスピッツァーさん。

エリオット・スピッツァー、ニューヨーク州司法長官から州知事になった人物。以前はAIGの粉飾会計を追及したことで有名だったんですが、高級売春クラブの常連だったことが暴かれて2008年に辞任に追い込まれてしまいました(高級とは料金が高いという意味)。

こちらは妻帯者なので独身の米山さんよりも倫理観道徳観に問題ありですが、彼に恨みを持つ人たちの動きもあったのではないかと思ってしまいます。

その昔、孔子は「信なくば立たず」といったそうな。政治において軍備、食糧、民衆の信頼のうち最も大切なものはと問われ、民の信頼だと説いたわけで、そういう意味で米山さんもスピッツァーもアウト。米山さんについては脱原発を目指していたので余計に残念至極ですがそれもまた仕方なし。


ついでながら、「信なくば立たず」を持ち出すなら今の安倍首相もアウト。自分や仲間うちの利権を優先するような人物に政治を任せてはいけないからです。信を失したと判断して自ら辞職した米山さんの方が安倍さんよりまともに見えるのは、これまた私だけではないはず。