年寄りのイメージをぶち壊す、まり子さん

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ふとしたキッカケで知ったのがこの漫画、『傘寿まり子』。ふだんはまず読まない漫画雑誌に連載中。お年寄りが主人公では話が広がらないのではないかと思いきや、最近のトレンドや話題をふんだんに折り込んで実に面白い。これもまた時代のなせる技なのか。

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傘寿まり子(1) (BE・LOVEコミックス)

最近の漫画の中にはトレンディで面白いものがいっぱい。トレンディといっても若者の流行追いという意味ではありません。今まさに進行中なこの国の老いの姿、老齢社会のことです。

この漫画の主人公は80歳。だから傘寿(さんじゅ)まり子なんでしょうが、ストーリーは年寄り物語ではありません。むしろ逆に、全く年を感じさせない主人公のバイタリティが素晴らしい。

この国は既に高齢社会、決して高齢化社会ではありません。65歳以上の人がほぼ3人に1人の状況でいったいこれから何が起こるのか、いや起きているのか。

この漫画はまさに今まで年寄りと呼ばれていた世代が実に元気で活発なことを示しながら、世間が持つお年寄りというイメージを完全にぶち壊していきます。

家出あり老いらくの恋あり、ネットにのめり込んで、あげくネットで知り合った老若な友人たちと新しい事業を興していくとか、それはもう予想できないような展開に読者は思わず引き込まれていくはず。また、ネットの匿名性にもしっかり触れているところが今風で、作者の腕の確かさの証明でしょう。


凍りの掌 シベリア抑留記(1) (BE・LOVEコミックス)

現在単行本は第五巻が最新刊。これからどう話が展開していくのか興味津々。ちょ〜お薦め。

作者はおざわゆきさん。お父さんの記憶を頼りに描いた『凍りの掌 シベリア抑留記』、お母さんの空襲の記憶を基にした『あとかたの街』という作品がどちらも秀逸で、限界状況におかれても尚人間性を大切にするご両親の姿を温かく、そして生き生きと描き綴っています。同じような内容で書かれた小説よりも今の人には近寄り易いのではないでしょうか。こちらも機会があれば是非どうぞ。