LVMH

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LVMHとはルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー、つまり世界最大のファッション産業コングロマリットの略称です。ファッションはまぁ横に置くとして、ワインやシャンパンにもLVMHの手が伸び、既に数々の著名メーカーを傘下に収めてきました。ひょんなことからKrugまでLVMHグループになっているのにびっくり。

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私たち夫婦がフランス・シャンパーニュのラーンス(REIMS)を訪れたのは1995年と96年。シャンパーニュ地方の中心都市ラーンスにはパリから特急で1時間ちょっとで辿り着きます。小さな町ですが、名だたるシャンパンメーカーが街中に散在することもあり、市中の酒屋を回るとシャンパンがびっくりするほど安い。レストランでも同じくリーズナブルなので、気兼ねなくルイーズやドンペリ、あるいはベル・エポックやKrugを楽しめます(苦笑)。シャンパン好きなら是非ラーンスへ。・・・それはさておき、

先日京都の祇園の某料亭で食事をしたら、お酒のリストにルイナールというシャンパンだけがリストアップされていました。でも値段はなし。値段表示がないのが祇園らしいといえばそれまでですが、聞くとハーフボトルで1万3千円! そりゃちょっと高いだろうと注文しませんでしたが、後で調べてみると、ルイナールはラーンスにあるメゾンで、ハーフの定価は6300円。祇園の料亭では定価の2倍ということなのでしょうか。

でも、ワインやシャンパンって最近は正規輸入品でもネットで安く買えます。これまたチェックしてみると実勢価格は4000円程度。祇園のお店はこれより安く仕入れているはずだから、店では3倍以上の値付けをしているというわけ。それなら、もっとお客の懐具合を考えて欲しいものですね。

なぜ高めの値付けなのかと考えるに、このお酒、祇園の標準シャンパンのような感じになっていて輸入業者がブランド価値を保っているらしい(ルイナールの広告資料から推察)。そんな戦略、どこがやっているのかと辿っていくと、ルイナールはLVMHグループ。どうりで。

最近のLVMHの傘下メゾンを調べてみると、なんとまぁKrugまで入っているではありませんか(上の一覧参照)。びっくりしました。傘下に入った(買収された?)のは1999年のことですから、私がラーンスに行った後のこと。この世界もどんどん変化しているんですね〜。

モエ・シャンドンやドンペリがLVMH傘下だというのは知っていましたが、Krugやボルドーのシュバル・ブランやイケム、それにブルゴーニュのクロ・ド・ランブレイまで・・・、びっくりですね〜。フランスの税制変更でワイン・シャンパンメーカーの統廃合が進んでいるとは聞いていましたが、ここまで変わってしまったのかと感慨深い。この10年20年の変化というか、時の流れに取り残されていたような妙な錯覚を覚えてしまいました。

話戻ってルイナール。祇園スタンダードなシャンパンの味わいがどないなものか知りたかったので何本か入手。昨晩飲んでみたところ、味わいについて連れ合いは「嫋やか(たおやか)」という表現を使い、私の印象は「朧(おぼろ)」。そんな個性を前面に出さないマイルドな味にもかかわらず、醤油にも負けない力強さあり、そんな逸品でした。著名シャンパンの中にはクセが強いのが結構ありますから、お料理の邪魔をしない味わいが祇園の料亭で受けたんだなと思った次第。お気に入りのドゥラモットとどう違うか、いずれチェックしたいと思います。