NHKの糖質制限とはカロリー制限

.Lowcarboあるいは糖質制限

最近やっとNHKが糖質制限を話題にするようになりました。今までずっと非科学的な日本糖尿病学会や栄養学会に追随してきたことから考えると大きな進歩。でも、内容が変。明らかに間違った部分もある始末。これでは視聴者はまたまた騙されてしまいます。

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先日7月6日の「ためしてガッテン」は題して「追跡!糖質制限ダイエットの落とし穴」。それまでこの番組はカロリー制限一辺倒でしたから、どんな番組になるのか興味津々でしたが、糖質制限を紹介しつつ一方で危険だという話になっていました。あらら。こんなんでは効果はありそうだけど何かあぶないなぁと視聴者は思ったのではないでしょうか。

NHKの言い分は、どうやら糖質制限を行った人の中に体調を壊した人がいるから問題あり、ということらしい。この指摘は本当なのでしょうか。番組では実例として失敗したという人物を引き合いに出します。その人は糖質制限をやったら立ち眩みなどを起こし体の調子が悪くなったので慌てて止めたとのこと。でも、これは糖質制限の失敗ではありません。

というのも、彼の食事では糖質(炭水化物マイナス食物繊維)を極端に減らしているのに代わりの食べ物を食べていません。これでは必要なカロリーがとれず、ヤバくなるのは必然です。つまり、彼が行ったのは糖質制限ではなく極端なカロリー制限だったというわけ。

炭水化物のような糖質を減らせば、その分のカロリーが減ります。減った分のカロリーは脂質やタンパク質を増やして補わないと、必要カロリーを満たせません。糖質制限するなら油モノやお肉をたくさん食べる、あるいは一皿余分にオカズを作るというのはそういうわけなのです。

NHKはそのことに気付いているのかいないのか、引き合いに出した人の紹介だけに留め問題点には触れず。糖質制限の中身を理解してから取り組んで下さいというのはその通りですが、そうは云わず糖質制限は危険だというのは何か悪意さえ感じてしまいます。結果として「ためしてバッテン」でした。

NHKの無理解はこれだけではありません。今朝江部医師のサイトを覗くと7月20日の「クローズアップ現代」でも取り上げていたらしい(私は見ていません)。江部医師によると、番組中で紹介されていた失敗例は糖質制限ではなくカロリー制限であって、糖質制限は何の関係もありません、とのこと。これって先の「ためしてガッテン」と同じ誤りのようですね。

どうやらNHKはどの番組でも糖質制限を歪めて伝えることに腐心しているみたい。今までカロリー制限を薦めてきたこともあり、糖質制限は極端なカロリー制限だからダメだというロジックに縛られてしまったのでしょうか。だったら誤解です。

興味深いことに、最近になってやっと糖尿病学会理事長の門脇孝東大教授が「(糖尿病学会の理事長ではなく)一人の糖尿病研究者として、糖質量を総摂取カロリーの4割以下に抑える糖質制限は、大いに推奨される」との見解を示しています。また、東大病院では低糖質メニューも用意しているらしい。従来、糖尿病学会が総カロリーの6割を糖質で摂ることを推奨していたのに比べれば、4割でも前進と云えるでしょう。でもこの程度の低糖質では糖尿病患者さん達の食後高血糖を抑えることはできず、まだ道のり半ばというところです(というか、お金儲けな薬物治療を続けたいがための中途半端な糖質制限なのかもしれません)。

こうしてトップが糖質制限の方向へ踏み出した一方で、未だに糖質制限を理解しない糖尿病専門医や栄養士さんが山ほどいます。かたや米国で糖質制限が盛り上がったのは13年前だったらしい(日本で江部医師が啓蒙本を出すよりもずっと以前)。現在米国では糖質制限はごく当たり前、さらに食物繊維との組み合わせやケトジェニックな議論などが活発です。

糖質の摂食を問題にしない限り、糖尿病患者は薬漬け医療の餌食です。間違った知識を後生大事にする糖尿病専門医に頼っていたらあなたの寿命は確実に縮まります。ご注意あれ。