憲法違反

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6月4日、自民党が衆院の憲法審議会に招聘した学者3人が揃って皆、自公政権が進める安全保障関連法案に対し、「違憲」という見解を示しました。自ら提出する法案が違憲だと云われた政権側は慌てて火消しにやっき。でも、その言い訳はメチャクチャです。

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ame1505自公政権が進める安全保障関連法案とはいわゆる戦争法案。集団自衛権なる不可思議な概念を持ちだし、米国といっしょに、あるいは米国の代わりにこの国が戦争しようという意図が透けています。

そんな戦争したがりな安倍政権と言葉だけ平和を標榜する公明党は、戦争法案という言葉使いが気に入らないらしく、先月社民党の福島瑞穂議員がこの法案を戦争法案と呼んだ時は、謝罪せよ、議事録から消せ等といきまくっていました。

今回は憲法を専門にする学者がこの法案を「違憲」だと断じたのです。それも自公政権がわざわざ国会に招聘した学者ですから何をか云わん。自公政権が慌てたのは云うまでもありません。

G7でドイツを訪れていた安倍首相は8日、「憲法の基本的な論理は貫かれていると確信している」と反論。また、自民党谷垣幹事長は7日、関連法案は「最高裁の判断する憲法の枠内で作られている」と述べ、「違憲」との批判はあたらないとの考えを強調していますが、権力と一心同体な最高裁判事の言い分と学問的見解は別次元。また、安倍や谷垣らが学者よりも詳しいわけはなく、苦しい弁解となりました。

taue1505傑作なのは菅官房長官と高村副総裁。菅官房長官曰く「全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」とのこと。だったらなぜ自公政権は違憲だという憲法学者を招聘したのでしょうか。自ら違憲だということを世間に明らかにしたかったのか。そんなわけはない。おそらく、司法関係の学者は政権や権力とどっぷりだからと安心しきっていたところ、憲法学者はそうではなかった、ということなのでしょう。

また、高村副総裁は「学者の云う通りにしたら日本の平和が保たれるか極めて疑わしい」と反論。これもまた、だったらなぜ学者の見解を聞こうとしたのか。要するに、憲法学者からもお墨付きをもらおうとしたがうまくいかなった、だから見解そのものをもみ消そうという意図が見え見えです。

さすがに憲法審議会での学者が説明した違憲表明に驚いたのか、NHK他ではニュースで報じていましたが、しばらくすると北海道の交通事故の方が大ニュースのごとき有様には呆れます。この国会審議を受け、野党だけでなく自民党内にも法案審議に異議を唱える議員が出始めているとか。そういう動きをきちんと紹介して欲しいものです。