三菱UFJの利益が一兆円突破、でも理由は?

.opinion

tomioka昨日書いた、「巨大企業は税金を払っていない」の続き。
ニュースキュレーションサイトを覗いていたら、「三菱UFJ、最終利益が1兆円突破 日本の銀行で初」というのが出ていました。このニュースの醜悪さは、昨日私が書いたのを読んで下さった方ならもう説明不要でしょうが、念のために再確認しておくことにしましょう。

・・・

antip1505まず、数字の相違について最初に断っておくと、ニュースは2014年の最終利益に言及したものであり、先の富岡本で紹介されているのは2013年までのもの。だから、数字が少し違いますが、「税金を払っていない」体質としては本質的に何ら変わりなし。

次に、三菱UFJという会社について。似たような名前の会社があるので間違いやすいのですが、銀行業務をやっているのは三菱東京UFJ銀行。これはUFJ銀行(三和+東海)と三菱銀行(1996年に東京銀行と合併)が合併した会社ですから別。この銀行の持ち株会社が三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJ)で、なぜかしら「東京」という名前が消えています(持ち株会社の利点については機会があればまた)。

pasta1505さて、富岡本によると、三菱UFJは実効税負担率が低い、つまり税金を払わずに済んでいる度合いが大きな大企業ランキングの第4位(2013年3月期)。

金額でいえば、税引き前純利益が1887億円もあるのに、実際に払った法人税などの総額は5億八千万円程度。税率は0.31%になっています。ちなみに、当時の正味法人税率は38.01%ですから、ほとんど払っていないと云っても外れていません。

先にも紹介したように、日本は大企業に対して税金を払わずに済む仕組みを用意しています。この制度こそ日本の税制の欠陥なのに、消費税を上げないと国家財政が破綻するという話の方が巷に蔓延るのはそういう方向にメディアが話を向け、庶民を洗脳しているから。

配当収益についてみると、三菱UFJは受取配当金が大きな大企業ランキングで堂々の第一位(2008〜2013年度までの6期通算)で、2兆8300億円となっています。同期通算の税引前利益が3兆2434億円であることを考えると、利益の87%が課税されない企業間配当になっています(個人なら20%+αの課税となります、念のため)。

ということを知識にして、先のニュースをもう一度読みなおしてみましょう。

 三菱UFJフィナンシャル・グループの2014年度の最終利益は、日本の銀行で初めて1兆円を超えました。1兆円を突破するのはトヨタ自動車に次いで2社目となります。(中略)最高益を2期連続で更新し、日本の銀行で初の1兆円台に乗せました。国内の事業が堅調だったことに加え、成長著しい東南アジアでタイのアユタヤ銀行を傘下に収め、収益を伸ばしました。(後略 出典はTV朝日 2015年5月16日)

meat1505三菱UFJがトヨタに次いで2社目といっても、その利益のほとんどは企業支配で握っている株式の配当に過ぎません。TV朝日はそのことには一切触れずに国内事業が堅調だったとか、海外事業で収益を伸ばしたと説明するのみ。ストレートにいえば、国民から真相を隠したというわけ。

「国内事業が堅調」とは以前より他企業に対する支配体制が強化されたということだし、「海外の銀行を傘下に収めた」というのは、より税金をとられない仕組みを構築できたという意味ではないでしょうか。大メディアが云っているのはそういうこと。わかる者にはわかるということなのでしょう、きっと。

支配者にとって都合の悪いことを隠してしまう大メディア。内部でいろいろがんばっている人がいることも知ってはいますが、組織としてのメディアの姿勢にはほとほと呆れる次第。

(写真は京都のリストランテ・ディ・カチャトーリのランチディナーの一コマ。内容とは無関係)