福井という土地柄

.opinion

敦賀を訪れたことのある人なら知っていると思いますが、まるで時間が止まったかのようにJR駅前は閑散。そんな一昔も二昔も前の町並みの所に何故新幹線を引く必要があるのか、全く理解に苦しみます。その無駄使いは、おそらくたくさんの原発を受け入れた街に対する国のサービスなのでしょう。
その福井で先日興味深いことがありました。高浜原発差し止め裁判が勝訴したことです。

takahama1504

(写真はThe Huffington Postから)

・・・

hatu1504cつい先日の4月14日、福井地裁は関電高浜原発3号4号の運転差し止めの仮処分を認めました。根拠は原子力規制委員会の新規制基準が緩やか過ぎるため安全性が確保されないというもの。私に云わせれば、ごくごく当たり前の判断ですが、福井という土地柄においてはよくゾやりましたというところでしょうか。

一方で、原発再稼働こそが福井県あるいは日本の進む道だと勘違いしている人たちにとって本判決は気に入らないようです。規制委の田中委員長は規制基準に対して誤解があると表明しましたが、規制委が活断層の一部を安全性の検討から外した非を指摘した石橋先生の話を報じたメディアはいったいあったのでしょうか。3.11以来、大メディアは信用なりません(きっぱり)。


hatu1504eそして大メディアはいつもながら変。福井判決を一応流す一方で、原発が再稼働しないと困るという市井の声を大きく紹介する始末。流石、国が右というのに左とは云えないメディアの面目躍如です(皮肉です、念のため)。ちなみに、関電側の理不尽な裁判所への圧力が裁判長を怒らせたという言い分も出ています。

とにかく福井という土地柄は奇妙です。経済活動のためには原発が再稼働しないと困るとごくごく普通の市民にまで云わせてしまう土地柄とはいったい誰のための場所なのか。高浜原発差し止め判決の後の市井の反応を見ていて愕然としてしまいました(国に都合の悪いことを云う人がいても、放送されないだけかもしれませんが・・・)。


haru1504b原発がなければ自治体の存続すらできないほど資金的にガンジ絡めにされてしまったがゆえに、安全でない原発を安全だと誤魔化しながら生きていかなければならないのが福井に住む者の宿命なのでしょうか。だとしたら、あまりにも哀しすぎ。もういい加減に原発安全神話の洗脳から抜け出して欲しいものだと切に願う次第。