光らない窒化ガリウム

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shukin150424驚きました。
昨年のノーベル物理学賞は青色発光ダイオードの発明に対して、赤﨑氏・天野氏・中村氏の3人に授与されました。そして、青色発光ダイオードの材料である窒化ガリウムを開発したのは赤﨑氏・天野氏、量産化したのは中村氏、と報道されていました。ところが、真相は複雑怪奇。だって、窒化ガリウムは青色には光らず、青色に光るのは中村氏の開発した窒化インジウムガリウムだというのです。受賞者の1人、中村氏はノーベル財団に異議を申し出ようとさえ考えたらしい。誰が話をデッチ上げたのでしょうか。私だけでなく、あなたもひょっとしたら、大メディアや文科省にゴマカされていたのではありませんか。

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週刊金曜日1037号(2015/4/24)の表紙に、「2014年ノーベル物理学賞受賞者 中村修二教授 激白90分」という文字が躍っていました。興味を覚え読み進めると、意外な話がそこにありました。曰く、青色発光ダイオードの材料と報道されている窒化ガリウムは光らない、というのです。え? 

中村氏によると、青色に光るのは中村氏の開発した窒化インジウムガリウムであって、窒化ガリウムは青色には光らず紫外発光だけとのこと。じゃ、なぜ窒化ガリウムが青色発光ダイオードの材料と報道されたの? 

mizuki1504a青色ダイオードといえば、もともとセレン化亜鉛が大本命で研究されていた中、窒化ガリウムという物質を持ち出したのが赤﨑氏・天野氏でした。でも、両氏がいた名大と豊田合成が国の資金をふんだんに使って青色ダイオードの開発を進めたにもかかわらず、それは成功しませんでした。

一方、中村氏(当時は日亜化学工業に勤務)は窒化ガリウムにインジウムを加えて結晶化することで青色発光することを発見し、日亜化学はそれを量産化することに成功したのです。したがって、日本の大メディアが展開していた「青色ダイオードの発明は赤﨑・天野両氏が担い、中村氏は量産技術を開発した」という報道は間違い。正確に言うなら「青色ダイオードの発明は中村氏、その材料開発の前段階の一部を担ったのは赤﨑氏・天野氏だった」ということでしょう。


問題は、日本の大メディアがこぞって受賞理由を窒化ガリウムの発見としたこと。なぜ窒化インジウムガリウムではなかったのか。いろんな推測ができるようですが、科学の話ではないので私は触れません。興味のある人は週刊金曜日の該当号をご参照下さい。

leaf1504そういえば、受賞直後に天野氏が「なぜ自分が受賞者になったのかわからない」と云っていたのをTVで聞き、謙虚な人だなぁと思っていたのですが、青色に光る材料を発見したわけではないのに、と本当のことを正直に吐露しただけだったのかもしれません。

とにかく日本の大メディアは、事実とは異なることを一斉に報じて世間を欺きました。いったいそれは何のため誰のためだったのか。何かの意図を持った国等との相談づくの広報だったのでしょうか。いずれにしろ、大メディアの姿勢は3.11原発メルトダウンの時からちっとも変わっていません。NHKや大メディアを信用するな、というのはこんな分野にもあったというわけ。ご用心。