北陸新幹線の影

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前回、北陸新幹線の開業によって従来のJR線が民間鉄道会社へ変わってしまうことに触れました。こちらは「細切れ状態でほとんど値上げらしい」程度の理解でしたが、地元にとっては実に面倒で厄介なことになることを知り合いからの連絡で知りました。それは・・・

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今までJRの経営だった鉄道路線が第三セクターとか別の会社へ移行するとどうなるか?

25days1つの路線が細切れ状態になり、それぞれでサービスが変わる。内容が良くなればいいけど、料金アップもありそうだし、経営合理化で稼働本数が減ったり、無くなることだってありそうです。ここまでは私もわかります。

でも、もっとシンプルで大きな違いが出てくるのです。今まであった「みどりの窓口」が消えてしまうこと、これです。

JR駅ではなくなるとJRの発券コーナーが消えるのは当然なのですが、替わりに登場する鉄道会社の窓口のマシンでJRに接続できるものだと思っていたら、どうもそうでもないらしい。

たとえば、信州の黒姫駅では「みどりの窓口」がなくなり、長距離のチケットを買おうとすると近くの農協に依頼して数日待たなければならなくなるとの地元の知り合いの弁。本当でしょうか。情報があれこれ飛び交い、地元の不安を掻き立てているようです。ただ、前回のしなの鉄道移管の際、「みどりの窓口」廃止駅には自動指定券売器を置いているので、今回もそうなることを期待しておきましょう。

料金は予想通りで、経営会社が異なると高くなってしまいます。先の例なら、1本だった東京から黒姫までの乗車賃が東京から長野まではJR、長野から黒姫まではしなの鉄道になるので、従来のJR乗車距離の計算がJR部分の長野で途切れ、料金アップとなってしまうというわけ。経営体が変わるのですから仕方なしといえばそうなのですが、利用客にとっては納得し難い話でしょう。

suisen15021987年から始まった国鉄の分割民営化は、その後赤字路線や不採算路線の別会社化に繋がってきました。一方で、巨額な債務をもたらした政治や国鉄行政の責任はどこかに消えてしまったかのようです。

基本的には国鉄時代の巨額債務の解消を目指した経営合理化であり、要するに運営はお金次第ということ(注)。ぶっちゃけいえば、大都市やその近辺ではサービス向上になっている面がたしかにあります。でも地方都市や過疎地帯では路線廃止などでサービス低下に繋がっているのも多いのです(大都市生活者はそのことを知らない)。

北陸、信州の従来鉄道路線がJRから別会社への経営移行になってしまうのはどうしようもありませんが、関連サービスが悪化するのではなく良くなることを願うばかりです。

(注)併せて、国労(国鉄労働者組合)の壊滅を目指したとの話もあり。これがバブル崩壊後のリストラの先駆けとなりました。