高額療養費とのつきあい方とは

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医療保険は入ってはいけない!
また、エコはエコでもエコノミー。今回は医療保険の話。
昨年狭心症になって手術費入院費で40万円前後の支払をしました。国保加入の3割負担ですから、実際はその3倍強の120万円! 緊急入院で相部屋だったことで部屋代がかかっていませんが、もし個室入院していればもっとお金がかかっていたはず。こういう話になると、だから医療保険に入っていないとダメなんだと云う人がいるかもしれません。はたしてそうでしょうか。

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国保であろうがなかろうが、この国の健康保険制度に入っていれば、月100万円を超える医療費は高額療養費払い戻しの対象です。したがって、収入に応じて私たちの出費限度額は、まぁ月に8万円前後。私の例でいえば、40万円ー約8万円が戻ってくることになります。つまり、皆国民保険制度のおかげで、保険診療の範囲であれば上限8万円前後の出費で収まるというわけです。(高額所得者はもう少しお金がかかります)

もし健康保険以外の保険、すなわち民間企業が胴元の医療保険に入っていて、その対象になるのであれば、さらに医療費は安く上がります。私の場合、入院1日目から支払のある医療保険に入っていたため、3泊4日の入院で2万円。加えて心臓カテーテル手術で5万円の支払がありました。実際には月をまたいだ入院手術だったため、支払額がなしというわけにはいかず、5万円ほどは自腹切りになりました。

このことからもわかるように、多額の医療費がかかるような事態になっても月最大8万円前後(高額所得者なら10万円程度)。それ以上の補償を目論んで民間医療保険に入るのが得策かどうか、思案のしどころです。

ただ入院保険の中には5日以上でないとお金が出ないというのもありますから、その場合には3泊4日では使えません。にもかかわらず、毎月毎月延々と年に数万円数十万円の支払をしていても意味がありません。おまけに保険会社から入院保険を引き出すには病院が作成した診断書が要りますが、この手続きに3、4千円かかります。少ない日数の入院だったら約1日分なくなってしまうような感じもしますので要注意。

実際のところ、毎月毎月100万円を超える医療費がかかる病気というのはそんなにあるわけでありません。手元に貯金があるのなら、民間保険の支払をしない方がお得というケースも多々あるのではないでしょうか。

そんなことを考えていたら、筋道立ってきちんと説明した本が昨年出ていました。内藤真弓さんの『医療保険は入ってはいけない!』(ダイヤモンド社 2007)がそれです。かかる医療費とかける医療費では話が違うのだと説明し、公的医療保険の優秀さと民間保険の限界などを明らかにしつつ、個人個人が選ぶべき処方箋について道しるべを提供しています。

誰でもいつか病気になる(かもしれない)のですから、一度は保険制度とのその内容、限界について調べておくのは意味のあること。病気になって私も初めてそのことに気づきました。この本、お薦めです。

(おまけ)
狭心症の私が受けた手術は心臓の冠動脈にカテーテルを送り込み、閉塞しかけている箇所をバルーンで膨らませ、そこにステントを置くというもの。そのステントは薬剤溶出タイプで、最近になって保険適用が始まったもの。昨年末米国で安全性についての論議が起こり、そのための検討委員会が始まったとの記事をWS誌で見かけた時はちょっと驚きましたが、既に私の胸の中(笑)。

主治医に聞くと、使用したステントはジャンソン・アンド・ジョンソン社のステンレス製のもので、日本価格で45万円!! これだけで手術費の半分前後。部品代が高く医者のワザにお金をかけないこの国の現代医療を象徴しているようです。ちなみに米国では同じものが約US$2000ですから、日本価格はかなり高めです。代理店とか関係者の取り分や割引き分の上乗せなのが原因なのでしょうかねぇ。