埼玉プール事故:奇妙な提言を裏読みしたら
2006/10/20
ふじみ野市のプール事故調査報告書の提言内容が納得できないことは既に書きました。問題プールにはあまり言及せず、「市有公共施設」の安全対策に重点が置かれているのはなぜだろう。こんな非論理的な提言を誰も奇妙に思わないのだろうか。そう考えていると、昨日あることに気づきました。…
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報告書の提言を読む限り、調査委員会は問題の大井プールの改善などにそれほど関心を払っていません。でもなぜプール以外の「市有公共施設」の安全対策に多くの行数を割いたのか。いろいろ考えていて、私自身愕然としました。調査委員会の言い分は、市のこれからの行動に呼応するような報告書をしたためたかった、というのがそれです。
今回のプール事件は7月31日。その後マスメディアの報道で世間の関心をひきつけ、話題は全国化しました。そして、ふじみ野市の島田市長が大井プールの廃止を表明したのが8月末。調査委員会はその発言を挟んで開催されており、委員会が最後の第5回を開催したのは9月29日。報告書を教育長に手渡したのは10月6日ですから、市長の意向は市職員だけでなく事故調査委員会にも伝わっていたはずです。
市長ら市幹部は揉め事を起こしてしまった大井プールの廃止を考え始めた。だとすれば、委員会がいくら大井プールの安全対策を打ち出しても意味がありません。委員らに課せられた使命が事故の再発防止だとしても、肝心のプールがなくなるのなら、いくらやっても無駄になり、力は入らないのは当たり前だからです。
でも、プールを廃止した後はどうなるのか。おそらく、市当局は新しいプールを作るか、それとも全くの別の公共施設を考えているのではないでしょうか。そうであれば、委員会がその安全対策を打ち出しておこうと考えても不思議ではありません。そこまで委員に知恵が回らなくても、委員会を仕切っている市幹部職員がそう考えて委員会を誘導したのかもしれません。
結果、委員会はプール事件の報告書でプール以外の「市有公共施設」の安全対策を打ち出してきました。非常に奇妙な論理的には納得しがたい流れになっています。でも、これが奇妙でも偶然でもないとすると、次に出てくるのはプール跡地利用、あるいはそこに建設される市の公共施設計画でしょう、きっと。私はそう確信します。
私の推論が当たっているかどうかは、ふじみ野市の今後を見ていればわかります。自らの責任で引き起こしたヒトの死を、自らの利権に関係する公共事業推進ネタにするとしたら、なんともたくましいというか、おぞましい行為ですね。
(後記)私の予想はピッタシカンカン。事件を忘れたい気持ちはよくわかりますが、死んだ子の無念は果たして・・・。