埼玉プール事故:人災

プール事故

プールの吸水口にフタが固定されていれば起こるはずもなった、今回のふじみ野市のプール事故。なぜ、フタが固定されていなかったのか、あるいは開いてしまったのか。それらは偶然に起こるわけではありません。明らかに人災です。31日事故発生以降、わたしは一貫してそう主張し、メディアでもその主張を電子拡声器のごとく全国に伝えてくれました。でも、メディアが伝える人災や、視聴者が受け取る人災という概念が、私の考えているのとはちょっと違うような気がしています。そして、それが数日前からずっと気になっています。…

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人災とは「人間の不注意や怠慢が原因で起こる災害」(日本国語大辞典 小学館)。開いていてはいけない吸水口のフタがはずれて放置されていたのは、プール現場の不注意ですし、針金で止めていた等というのはフタの固定をしていたとはとてもいえず、これまた安全対策の不備で怠慢というべきところです。でも、話はそれだけでしょうか?

メディアは管理会社の無責任さやプール監視員ら現場の無知・不作為を取り上げ、それらが今回の人災の原因であるかのように責め立てています。たしかにそれはそうでしょう。でも、それだけでしょうか。私はもっと違うところに大きな原因が潜んでいると考えています。

だって、簡単に開いてしまうようなフタしかつけられないプール吸水口って、そのものが「悪魔の穴」ではないですか!安全性を考慮しないプール設計をしたのは誰ですか?それを許認可したのは埼玉県ではなかったのでしょうか(保健所が許認可業務を実施しているはずです)。・・・。

つまり、私の云う人災とは、プール現場の注意義務違反だけでなく、プール構造そのものの瑕疵を放置してきた埼玉県やふじみ野市の行政による怠慢も大きな原因であるということ。もしプールそのものがしっかり設計され、フタも(まさしく)取ってつけたようなものではなかったのなら、プール監視員たちの責任がきつく問われることもなかったのかもしれません(だからといって、今回のような監視員らの無知・無責任が許されるわけでもありません)。

一番問題なのは誰なのか?
吸水口・排水口の危険性を無視あるいは軽視した危険なプールを設計し、そしてそれを許認可した方々に最も重い責任があるのではないか、日に日にその思いが強くなっています。

昨晩あるTV局から聞いたところでは、昨日現在全国のプールで吸水口・排水口に何らかの問題があった件数は32府県で500を超えているとか。今まで実態が全くわからなかった公営プールの危険さがどんどん露見してきたというべきか、「対策済み」とされてきた学校プールの中にもウソ報告をしていた処があったのか、いろんな理由が考えられますが、それにしても多すぎる。また、府県というから、東京都と北海道の実態調査はまだでしょうか? 全部の自治体の結果は500をさらに上回るものと思われます。困ったことです(唖然)。泳ぎに行く人は要注意。