ベランダ太陽光発電

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だれでもできるベランダ太陽光発電―身近な自然エネルギー入門だんだん夏になってきました。拙宅の太陽光発電も今年は例年よりもガンガン稼いでいます。でも、大がかりな設備は初期投資がかかるのでなかなか手が出ないという人も多いはず。そういう思いを受けてか、ベランダでも簡単に発電できますよ、という紹介をした本があります。拙宅にあった本を読んだ友人が感想を寄せて下さいました。少し考えるべき点も含まれていますので、ここで紹介します。…

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だれでもできる 「ベランダ太陽光発電」
自然エネルギー推進市民フォーラム「REPP」編
(合同出版 1999/10/15)

本書を一読して

太陽光発電のメカニズムについては、本書を一読することでその仕組みが大雑把であるが理解することができる。ただ、ベランタ゛に一枚のモジュールと最低限必要な機器、部品、工具類を準備して、それでは発電を試みてくださいといわれても、もともと電気に弱い私には到底できそうにもない代物である。

REPPが本書を1999年に発刊した背景には、自然エネルギーの普及を念頭に、広く一般に太陽光をPRし、地域でエネルギーの自給ができる展望を目指しているものと思われる。本書の前半は、太陽光発電の基礎知識習得を重点に記述しており、そのメカニズムを知るうえでは大変参考になったが、私には第6章以降の「エネルギーと環境問題」特に、アメリカがエルフィンにより原発行政を転換したこと、日本は逆にプルサーマル計画を世界の原子力の流れに逆行し推進していること、など等、地球温暖化問題とエネルギー問題の課題に興味を覚えた。

さらには、「エネルギー政策の根本的な転換なしに地球温暖化防止はできない」との観点から、日本は利権構造から住民の利益重視の社会システムに転換しない限り環境問題は深刻を増すばかりと警鐘を促す一方、一部の地域で実施しているグリーン電力、グリーンファンドなどの自然エネルギーに関する市民運動を紹介している。

また、REPPは、本年5/16日に東京の九段会館に雲南ネットワーク代表の陳楊松氏を招き、「中国における家庭用畜産バイオガスの利用の現状」と題し、講演会とパネルディスカッションを実施しているが、このように自然とともに生きる「環境共生型社会システム」の構築にも力をいれており、本書にも自然エネルギーに関わる市民運動とともにページを割いている。

また、地球温暖化防止とエネルギー問題は地球規模で取り組むべき課題ではあるが、REPPは前述のとおり、住民参加型で持続可能な町づくりとして、地域ごとのコラポレーションによる共同発電所づくりを目指しており、既に少しは歩き始めていることも記述している。

本書は、五年前に発刊されたとは思えないほどの視点で、簡略に環境問題を指摘し自然エネルギーの重要性を訴えているが、そのことが私にとっては昨今の自然エネルギーを考えるよい手引き(機会)となった。

地球一郎

(有田コメント)
たしかに5年前に出た本とは思えない内容ですね。私自身はといえば、99年に自宅を竣工した1年前の98年から太陽光発電について調べまくっていましたので、ちょうど盛り上がった時期がいっしょでした。家を建ててから本書を手にとりましたが、団地やマンションでも実践できる方法の紹介ということで興味を覚えました。

しかしながら、「地球さん」のおっしゃる通り、「ベランタ゛に一枚のモジュールと最低限必要な機器、部品、工具類を準備して、それでは発電を試みてくださいといわれても、もともと電気に弱い私には到底できそうにもない代物」というのは、まさにその通りです。

機器や部品を集めるといっても、近くの電器屋さんに売っているようなモノばかりではありません。おまけに電機配線の知識がないときちんと完成するのかどうかはわからない。そういう不安が先に立つと、なかなか前に進みません。結局、やりたければ、お金を出して業者に任せてしまうということにもなりかねません。ここらは電気工事に詳しい人たちにはなかなか理解できない所でしょう。私自身、頭を抱えてしまいそう。だから、広まらないのではないかと勘ぐってしまいます。

敷居の高い太陽光発電をより身近にするという目的はそれなりにクリアしていますが、使用者側の知識や工事能力の多寡をどこまで配慮するのがいいのか。友人がこの本の感想を書いて下さったことで、私はエコロジカルな技術の普及に際しての問題のひとつを改めて感じた次第です。