田中角栄と周恩来の約束

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沖縄返還の1972年当時、田中角栄と周恩来との間で尖閣絡みの約束があったらしい。最近公開された外務省の極秘文書の中に尖閣に触れた箇所があり、この問題は触らない方がよい等としているとのこと。解説しているのは自民党の加藤紘一衆院議員(週刊金曜日915号)。
でも、この話に言及する大手メディアはないようです(あったら教えて)。なしくずし的にナショナリズムを煽っても日本にとって益はなし。右翼ナショナリストたちは戦争でもしたいのでしょうか。そんなのは嫌だなぁ。NHK等には要注意。

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過去の戦争の反省が本当にあるなら、話し合いで解決することに専心しなければなりません。でも、日本政府はまるで右翼的。別に中国の肩を持つわけではありませんし、中国本土の暴動を観ているとちょっと恐ろしくなりますが、田中周会談が生きているのなら中国としては日本の約束違反を許すわけにはいかんという状況でしょう。

おかげで、日本企業の中国での生産体制や中国人の購買力も吹っ飛んでしまいました。トヨタなどは中国での生産縮小を進めていますが、合弁企業の株価はほとんど半値にまで売られてしまいました。こんな状況がいつまでも続くようなら日本の大企業は大きく傾いてしまうことでしょう。経済界は原発推進よりも何よりも民主党右翼などを説得して中国との話合いに向かわせるべきです。

ところで、既に本サイトでは尖閣問題について、2年前に以下の記述をしています。

歴史は? 2010/10/26
尖閣諸島の領有権をめぐって喧しいこの頃。ホンマに日本固有の領土なのでしょうか。歴史学者の井上清さん(故人)は違うと云っているようですし、日清戦争の前後で中国から強奪したものの一部だという歴史的証拠?もあるようです。(出典:週刊「金曜日」820号論争)
日本のメディアが騒ぎを伝えるだけで歴史的経緯を伝えないとしたら、それは中国メディアが人民を焚きつけて扇動しているのと同じになりませんか?
資源の鞘当てか何か知らないけど、情報が国境を越える時代になって地理的線引きで揉めるのは滑稽に見えてしまいますね。負けるが勝ちで仲良くしたらいいのにねぇ。

この時は海保の巡視船に中国漁船が衝突した件での話。中国漁船の船長を逮捕した後そのまま釈放するという不可解な対応をしたり(この時の国交相は右翼前原某)、衝突映像を海保官がネットに流したり、いろいろありました。あの件も今回の尖閣事件の前振りのようなものでしたが、覚えている方はどれほどいるのでしょうか。

尖閣諸島の領有権について、日本は自国だと云い中国は自国だと主張する、学者の中にも異なる見解ありで、よくわからない。だから、1972年の沖縄返還当時、田中角栄と周恩来はそこを触らないことにしようと日中の暗黙的了解事項にした、それを受けて今までできるだけ領土問題に踏み込まないように両国は外交努力をしてきたのではなかったのか。

その安定状況を、右翼ナショナリスト石原某が島の買い取りなどとチョッカイを出し、隠れ右翼のドジョウが国有化等という暴挙に出てしまいました。これははっきりいって、民主党の失策。それに対し、約束を反故にされたと考えた中国共産党が牙を剝いてきた・・・、これが状況説明です。相手は民衆動乱まで画策して攻めてきています。でも、話の経緯・順番を間違えてはいけません。

この問題に解決の道があるとすれば1972年当時の約束に戻るか、共有取得という新しい道を選ぶしかないのではないかと思う次第です。