朝日新聞 原発推進の手引き

.opinion 3.11

東電福一原発事故ではメディアのテイタラクぶりに呆れかえってしまいます。朝日新聞も同じ。昔から朝日の科学部と称するグループは、読売・サンケイにも増して原発推進側だったことは知る人ゾ知る話。その朝日に原発推進の「手引き書」があるのだそうな。

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バラしたのは小此木潔さん。1975年入社で、今年4月から編集委員とのこと。彼曰く、その「手引き書」は1976年に全社員に配布されたとのこと。原発推進の急先鋒だった大熊由紀子記者らの時代でしょうか。内容は、

「YES, BUT」であった。原発はOK。でも、危険をチェックしていく。住民の声を重視していく。つまり、原子力の平和利用は良いことであり、資源の乏しい日本のエネルギー自立のためにも原発は不可欠であると位置づけたうえで、安全や住民の同意を尊重していこう、という「条件付き賛成」ないし「条件付き推進」の立場だった。

とのこと。(出典は WEBRONZA 2011年07月21日

要するに、全社員一丸となって原発推進していきましょう、そのための民意合意形成に尽くしましょう、ということ。

その小此木さん、今回朝日新聞が「原発ゼロ社会」を提案した論説主幹の署名論文と社説を出したのを高く評価し、朝日新聞の歴史的な転換を象徴するとして、朝日が脱原発に舵を切ったことを賞賛しています。

でも、それは外部から見れば手前味噌。だって、全社員に「手引き書」を配って原発推進をしてきた新聞社が、社説1本で方針転換するとは(新聞界ならいざ知らず一般常識では)思えません。

本当に路線変更したのなら、全社員に対して、今までの方針は間違っていた、新聞は御用メディアには決してなってはいけない、事実を事実として伝えていくことが大切だ、等々とした上で原発報道をどう進めていくのか、社内で議論すればいい。また、原発推進以外にも様々な「手引き書」が記者達の手足や頭を縛ってきたのなら、それらも洗いざらいオープンにして、ウミを出す必要があるでしょう。記者には優秀な人も多いので、変な縛りがなくなれば、本来のジャーナリストに近づくのでは?

とはいっても、朝日新聞にそれができるのかどうか。まず今回の東電福一原発事故、御用メディアのせいでどれだけ大勢の人が実害を受けたか、記者たちはホンマに理解しているんだろうか? たぶんわかっていないだろうなぁ。朝日新聞が考えるべきは、原発問題に限らず権力と対置し、人権を守っていく、その基本に立ち返ることではないでしょうか。でも、朝日にそんな日が来るのかどうか、やはり大きな疑問です。