変な用語にご用心 その2

.opinion 3.11

7/13付で書いた前回の続編です。相も変わらず、変な言葉が飛び交っています。

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日本人の誇り

東電福一原発で作業している現場の人たちが、線量計をつけているとすぐに法定上限に引っかかり働けなくなるからという理由で、線量計をつけずに作業に入った人たちがいることを指し、海江田万里経済産業相は23日のTVで「頑張ってくれた現場の人は尊いし、日本人が誇っていい」と称賛したとのこと。無謀というべき話を美談に仕立て上げることで、現場作業者を過酷で非情な勤務に追いやることになるとは考えなかったのか。
もし海江田大臣が自らの身を捨て、こどもや妊産婦などの避難退避計画を速やかに実行することを最優先していたら、「頑張ってくれた大臣は尊いし、日本人が誇っていい」と言えたのですが、かないませんでした(残念)。福島の人たちを見殺しにするかのような無策無能な行政を見るにつけ、私は日本という国が恥ずかしいと思うことしきり。

縮原発

経済同友会が言いだしたとか。「老朽化した原発を順次廃炉にし、再生可能エネルギーの推進を目指すべきだ」とし、将来的に原発の廃炉を目指すのだそうですが、要するにロートルを「減らす」だけであり、原発依存社会については不問にするということみたい。であるなら、原発以前に「頭が老朽化した経済人を順次引退させ、若いエネルギーに溢れた経営者に道を開いていく」と云った方がいいのでは?

減原発

こちらは民主党・玄葉光一郎国家戦略担当相が14日の衆院本会議で云った言葉。菅首相の「脱原発依存」より現実的な考え方だそうですが、これも言葉の遊び。どこまで減らすのか明確にしない限り、原発延命策としか思えません。ちなみに、玄葉議員は元自民党、国と東電によって政治生命を奪われたと主張している前福島県知事の佐藤栄佐久氏の娘婿。脱原発とは言い難いのは親子ともどもか。
前回「卒原発」を取り上げましたが、卒であろうが縮であろうが減であろうが、脱原発に繋がっていくのなら歓迎です。でも、言葉の違いは背後にある考え方の違いを反映していますから要警戒。

「避難準備区域」解除

文科省は7月25日、「福島第1原発から20〜30キロ圏を中心とした「緊急時避難準備区域」の解除に向けた放射線測定アクションプランを公表」したとのこと。
東電福一原発はいまだ冷却作業中で、現在でもフレッシュな放射性核種が東電福一原発からばらまかれていること(6末で時間当たり10億ベクレル程度)、既に汚染されてしまった土壌の除染も進んでいないこと等々を考えると時期尚早だと私は考えます。むしろ、汚染マップは避難退避区域の拡大にこそ活用すべきで、解除なんかとんでもはっぷん。なぜ国は住民を被曝環境へ押し込めたいのでしょうか。南相馬市の帰省要請も同じく無暴。行政判断に予防原則がワークしていないのが難点。困ったこっちゃ。

(おまけで近況)Lionの相手をしていたら、10年以上使い続けてきたアプリがロゼッタ絡みでアウト。あちゃ〜、どないしよかと数日右往左往。寝冷えでノド風邪を拗らせ休憩中でした。また再開していきます。
ところで8月1日は「水の日」とかで、某ラジオ局から出演依頼。拙著『あぶない水道水』を題材に話せという依頼が未だにあるのは有り難い。