菅総理による人災=菅災
2011/06/06
菅総理は、東北大震災の翌日朝に福島第一原発を視察するというパフォーマンスを行い、原発のベントを大幅に遅らせ、放射能汚染を拡大させました。福島県の森まさこ議員(自民党)がこの件を参院予算委員会で追及しましたが、菅総理はのらりくらり。自分のパフォーマンスで福島県民に重篤な被曝をさせたことには全く謝罪なし。これは人災というより菅災として別格扱いしておきましょう。
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福島第一原発では、3月11日の大地震直後から異常事態が発生し、メルトダウンがおこったと考えられます。菅総理を本部長とする原子力災害対策本部は、事故当日からERSS(緊急時対策支援システム)を稼働させて、事故進展予測を行っていました。そして、冷却水の水位などのプラント情報が比較的あった2号機について、3月11日22時時点のERSS予測で、24:50 燃料溶融、27:20 原子炉格納容器 設計最高圧到達・ベントにより放射性物質の放出、を予測していたのです。つまり、3月12日午前3時20分にベントする事態に至るという予想を立てていたのです(一般への公表はずっとずっと後)。
ともかく、重大な原発事故で緊急事態なのは明らかです。そんな緊迫した事故現場に、大震災翌日(3月12日)朝にシロウトがのこのこ出かけて行って、責任者に説明を求めたり写真を撮ったりするのは時間の無駄・迷惑の極み。現場にとっては新たな災難到来です。これを厚顔無恥にやったのが菅総理。自らが災害対策の指揮をとっている、とアピールするパフォーマンスのためとは、あきれるばかりです。そして、この人災・菅災によって、福島の放射能汚染は拡大してしまいました。
福島県の自民党・森まさこ参議院議員は参院予算委員会(2011年6月3日)で、SPEEDIによる放射能拡散予測図を用いて、菅総理が視察を強行せずにベントを行わせていれば、広範囲な汚染拡散は起こらなかったはず、と追及しました。菅総理は「SPEEDIの予測図は、自分にも枝野官房長官にも伝達されていなかった」などと弁明していましたが、それはウソです。枝野官房長官は3月12日深夜の記者会見で「風は海側に吹いているからベントしても心配ない」と2 度も発言しており、予測図を知っていたことは明白です(記者会見の1分00秒〜、7分57秒〜)。
メルトダウンのことも、事故レベルが7(チェルノブイリ級)であることも、放射能汚染が高レベルであることも、SPEEDIやERSSを駆使して事故進展予測を把握していたことも、すべてごまかして国民には隠し続けていた菅総理とその政権幹部。自分らだけが安全に視察できることだけを考え、福島県民には重篤な被曝予想を伝えなかった人たちに、地元のことを考慮した、まともな復興ができるとは思えません。