広告宣伝費

.opinion 3.11

広告宣伝費の御三家といえば、トヨタ、東電、創価学会とのこと(週刊金曜日840号)。東電は単独ではなく電気事業連合会といっしょに併せて、ということらしい。ホンマかな〜と思って調べてみると、公表データではトヨタがダントツ1位で約1083億円、東電は18位で286億円(いずれも2006)。…

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競争相手のいない東電がそんな大枚払って広告宣伝活動を行っているのはなぜでしょう? 企業イメージのアップ? それとも税金対策? いろいろ思惑はあるでしょうが、日頃からTVや新聞その他にお金を配っておけば、何かあった時には有効に活きるだろうというのもあるでしょう。その「何か」が今進行中の原発事件ですね。

一般に公表されている広告宣伝費とは別に東電には裏ルートがあります。まず、隠れ広告宣伝費と称される特別宣伝費というのがそれ。当然、この金額は外部の者にはわかりません。そんなものがあるんかなぁ程度の話。

それより問題なのは電気事業連合会経由の広告宣伝。電気事業連合会とは日本各地の電力会社がお金を出し合って作っている組織です。ここから原子力発電の宣伝が繰り返されているのは皆さんご存じの通り。事業内容をみても、電力会社の原発推進のための別働隊のような業務を行っています。

この連合会がいったいいくら広告宣伝費を使っているのか、公開資料をぱっと見ただけではわかりません。というか、組織の法的取り扱いがどうなっているのか、連合会で集めたお金はどういう用途に使われているのか、HPをみても全くわかりません。あ、そうか、これがこの組織の本質ですな。勘の良い人ならわかりますよね?

単独の電力会社ではいろいろな法律の制約の下に株主などに財務公開しなければなりません。ところが、利益追求しないことをうたう別団体を作り、そこ経由でお金を動かすようにすれば、表には出せないお金を、つまり政治家を懐柔したり、地元にアメを配ったり、あるいはもっとヤヤコシイ団体にお金を使う時に便利です。国が各種外郭法人を使って国民のお金を誤魔化すよりも、もっと複雑なことができるでしょう。

ではこの連合会がいくらの広告宣伝費を使っているのか? 業界筋の話では数百億円規模というのもあり、先の東電の報告宣伝費に加えると2位のパナソニック(831億円)〜5位の花王(560億円)と引けをとらないか、ひょっとすると上かもしれません(勝手な推測です)。今回の原発事故で大メディアが全く役立たずで体たらくでひどいのは、生命線を握られているからでしょう、きっと。

先日観たTVの音楽番組では、SMAPはじめ誰もがメッセージの中で「地震、津波の被害者へ云々」としか云いません。原発はどこに消えたんでしょうか? 誰かが音楽事務所に圧力をかけているのか、あるいはみんなで仲良く自主規制なのか、いずれにしろ、TV幹部や電通博報堂などの広告企業が大スポンサーの東電を気遣っているのは間違いありません。お気づきになりました?

もっと別のことも推測できます。電気事業連合会は共同研究とか研究助成・支援の名目で大学や研究機関などにお金を使っていることでしょう。お金が配られる関係分野の研究者はがんじがらめになって電力会社に楯突くどころか、積極的に協力する者まで出てくるはず。まるで忠実なシモベのように。原子炉工学関係者や放射線医学関係者があまりに杜撰で滅茶苦茶なのも肯けるところです。

放射線医学関係者がなぜ滅茶苦茶なのかはいずれ触れます。とりあえず云っておけば、放射線被曝の影響を前近代的な閾値ありの議論でしか説明せず、全く確率評価していない・しようともしない。ただ、これを説明しようとしたら放射線被曝研究の歴史から始めないと話がわかりにくい。私には荷の重い作業です。