大事なことを云わないNHK

.opinion 3.11

非常時になると意図に関係なくデマが飛び交うことは古今東西のこと。自衛隊に物資を届けたら被災地に持っていってくれる等というデマは可愛い方ですが、地震直後に鹿児島の某所では「ゲリラ攻撃の可能性…」という非常時用の例文放送が流れたとか。そんな例文が用意されていること自体がオソロシくてトンデモナイ。それでも、本当に大事なことを云わないNHK等の原発報道の方がよっぽどタチが悪い。

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さっき「田中三彦」でググったら、このサイトの「田中三彦さんの話を聞け」がトップになっていました。少しでも多くの人が田中さんのことを知っていただけると嬉しいし、かつ今回の福島原発のトラブルについて真相に近づいてほしいものです。さて、

福島原発が地震と津波でトラブっていることが報道された最初、圧力容器内の水位がなぜ低下しているのか不審に思いませんでしたか? 測定ができていないのか、それとも配管トラブルで漏洩なのか、どちらにしても厄介なはず。原発の専門家ではない私でさえそう思うのに、NHK等TVでは東大等の学者といっしょになって「まぁ大丈夫、問題はほとんどないだろう」という雰囲気をばらまいていました。何故?何か変だ。こりゃ何か隠しているなぁと思ったのは私だけではなかったはず。

先の原子力資料情報室の報道にもありましたように、田中さんは12日段階で圧力容器内の圧力が設計以上に異様に高いことを取り上げ、大変な事態になっていることを指摘。そしてそのことをNHKの解説委員や関村東大教授が全く触れないことに不信感露わ。配管破談や亀裂ではないかという推測をした上で、このままでは水素爆発や炉心剥きだしで溶融…とヤバイことになるかもしれないと推測されていました。12日の早い段階でのこの「読み」はその後その通りになったのはご存じの通りです。

さぁ、NHKの誇る専門家と田中さんではどちらが事態を正しく説明していたんでしょうか?

え?話がわかりにくい? 安全だという人がいて、いや大変だという人もいる。いったいどっちやねん?と訝しがる向きも多いことでしょう。何が本当なのか頭が混乱してきた、どの人の話を信じたらいいのかわからないという疑心暗鬼に陥るかもしれません。そうならないために1つアドヴァイス。コメントする者の「立場」を見よ、…これです。

その昔、武谷三男さんはこう云いました。

安全を考える場合、いつも日本では、まず実施側のいわゆる専門家とか専門技術者たちの意見が、一番よく知っているという理由で大事にされ、彼らの”立場”ということは問題にならない。これが日本の安全問題の最大の欠点である。
*武谷「安全性の考え方」(岩波新書)より

水俣病しかり、なんとか事件しかり。今回も原子力産業や推進行政と一蓮托生の専門家の言い分には要警戒(きっぱり)。私たちの安全を彼らに委ねてはなりません。物事を決して肩書きで判断してはなりません。今まさに起きている事態が説明と食い違っている時には尚更です。