旧暦と暮らす—スローライフの知恵ごよみ

.Books&DVD… .EcoStyle

本のタイトルは、旧暦と暮らす—スローライフの知恵ごよみ。 松村 賢治  著

松村賢治さんのこの本を読むと、季節感を楽しむためには、いわゆる旧暦が非常に大切なことであることがよくわかります。
私自身、こどもの頃から今までずっと疑問だったことがおぼろげながら解消した気分になりました。
なぜ、そのことに今まで注意を払わなかったのか。そのことはなぜ旧暦が廃れてきたのかとも密接な関係があるような気がします。また、旧暦ではなく自然歴というべきだという意見には大賛成です。…

・・・・・・・・・・・・・・
本のタイトル:旧暦と暮らす    松村賢治著   ビジネス社  2002/11/12

旧暦を自然暦という理由は後回しにして、暦とは何かという話からはじめましょう。
現在私たちが使っているのはグレゴリオ暦という西洋暦です。明治の最初に脱亜入欧のために、それまで使われてきた日本の暦を無理矢理捨て去って採用したものです。

その時まで使っていた暦は天保暦というもので、いわゆる旧暦と称するもの。今現在のを新しい暦とする立場からすれば、それまでの暦に旧暦という呼称を与えて差別化したかったのでしょうが、そのことによって、現在の私たちまで暦のことで誤解をする羽目になったようです。

現在の西洋暦は地球が太陽の回りを公転する365日少々を1年としたものですが、旧暦(とりあえず)の方は、その公転に加えて月の動きを考慮して暦を決めようというものです。月の満ち欠けだけで暦を決めるのは太陰暦といい、旧暦は太陰太陽暦というのだそうです。

具体的に、現在の太陽暦と旧暦の違いはどこにあるのか。
旧暦では月が地球を1周する29日少々を1ヶ月とし、1月が28日と29日の月があります。これで合計354日か355日。ところが地球の公転が約365日あるので、11日、10日分が足りません。そこで、3年で33日程度ですから、3年に1度13ヶ月の閏(うるう)月を用意して調整します。この閏月をどこに入れるか、ここに旧暦の妙たる所以があるのですが、説明が面倒なのでパス。

西洋暦は365日を機械的に12で割って、ローマ帝国の偉いさんが勝手に月の日数の分捕り会いをした結果、自然の周期とずれてしまったものになっている点です。もちろん、1年単位では辻褄合わせをしているのですが、それでも月の自転周期とは関係ありません。月の動きが潮汐に関係していることは説明するまでもありませんが、それ以外にも私たちの生活サイクルや季節感には密接な関係があります。そういう観点からいえば、旧暦が太陽と月の動向をどちらも取り入れているのは非常に大切なポイントではないでしょうか。

明治5年以前の歴史的事実の期日が旧暦換算でないと理解不能であることも、うすらうすら知っているつもりでしたが、ここで紹介した本を読んで再認識しました。
今年は梅雨が長いとか、冬が早くやってきた等ということがありますが、旧暦で考えれば何とも不思議ではないということ、また、新春のご挨拶というのを年賀にするのは、旧暦の年のはじめが春であること、端午の節句や中秋の名月という言葉の意味も改めて知りました。今まで、そんなことも知らずに暮らしてきたのかと思うと、季節感云々を感じて暮らしていこうと云っていた自分が恥ずかしくなる次第です。
著者の松田さんは旧暦と呼ばずに、自然暦と云おうと提唱されていますが、それはこの本の目的でもあり、この本のサブタイトルがなぜ「スローライフの知恵ごよみ」なのか、ということに関係しています。要するに自然とともに生活していくためには西洋暦よりも旧暦の方が優れている、旧暦を古いというのは間違いで自然暦というべきだ、というのが著者の言い分です。私もこの意見に賛同します。とりあえず、私も自然暦と呼び、積極的に使っていくことにしました。この本、目からウロコのお薦め本です。

(追記 9/17) 旧暦に関する別の本の紹介も追加しました。
(追記)HPのトップページに現在の暦を自然暦に変換して表示するエリアを設けました。計算式は、Kikuchi-san’s workshop等を参考にしました。計算方法を公開して下さった関係者の方々に感謝します。

15日:WINDOWSで計算が動いていないのを見つけました。Macでは問題ないのになぜ?検討してみます。>>調べてみると、NetscapeやFirefoxではちゃんと動いています。IE6だけがアウト。なんでだろ?