新型ではなく旧型インフルエンザ?

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米国CDCによると、「血液検査の結果として、60歳以上の人の多くが新型インフルエンザの免疫を持っている可能性」があるとのこと(5月22日 時事通信)。だとしたら、新型ではなく旧型インフルエンザ。遺伝子型は新しくてもタンパク質特性でみると新しくないというわけです。

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今回のフルーの致死率が低いことは5月初旬に既に指摘されていました。日本では今回の件で死亡した人もいません。従来のインフルエンザも、免疫の低下した人(注)では注意が必要です。日本だけで年間10000〜15000人程度の超過死亡があると言われている従来のインフルエンザと比べて、今回のフルーが殊更コワイということではないようです。にもかかわらず、この国では騒ぎすぎ。

視聴率をとりたいメディアが騒ぐのはいつものことですが、それに影響されやすい国民性にも少々危うさを感じてしまいます。先日紹介の上杉さんは今回の事件を「マスコミ感冒」だと喝破しましたが、この国民性こそが、その昔、メディアに扇動され国民総動員で世界大戦になだれ込んでいった心情やトレンドと基を一にするのではないかと危惧します。

冷静に判断せよと国やメディアが云うのなら、その判断材料も正確に提示すべきです。でないと、ホンマはヤバイのかなと疑心暗鬼に陥るだけでしょう。

専門家がいるはずの大学はどうか。
京大は「感染症の専門家チームが独自に状況を分析し、通常通り授業を行う」としました。これが「冷静な判断」で、当然のこと。

ところが一方で、すぐに休校を決め後で撤回しなければならなくなった阪大等は、知識や判断能力が欠けていたのか? それとも、科学判断よりも国の意向を優先することを選択したのか? 後者なら官僚機関であることの証明です。

WHOのある研究者が今回のフルーについて、自然発生ではなく研究室レベルでの実験からの漏出ではないかと指摘し、WHOも確認調査に入ったとか。でも、そのことを報道したメディアはいくつあったんでしょうか。こっちの方がよほどコワイと思いますが、どうでしょう?

おまけ。
今回の一連の事件で懸念されるのは、フルーが蔓延る冬が来るのがコワイという現場の声。寒くなるとフルーは当たり前にように発生します。今でも学級閉鎖や休校はよくあることですが、新型かどうかわからない限り、問答無用で隔離や休校休業が続出するのでしょうか? だとしたら、滅茶苦茶になりそう。

(注)免疫の低下した人とは、HIV患者さんや、大きな手術をした後や特定の疾病によって免疫機能が低下している人のこと。これらの集団だけは特別な対処が必要。でも、それはフルーだけの問題ではありません。