屋根 雨戸 窓

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最近豪雨で屋根が飛ばされる家が増えています。多くの人は風が強いせいだと思っているかもしれませんが、問題の多くは窓にある、と私は考えています。なぜか。

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20年前に自宅を設計している時、雨戸や窓シャッターをつけるかどうか悩んだことがありました。私が育った九州では雨戸は当たり前の設備でしたが、関西ではつけている人もいればそうでない人もいてバラバラ。とくに気密性の良い窓サッシの普及でいつのまにか雨戸の風景は消えてしまいました。

東日本では雨戸を取り付ける家が少ないらしいことも家の設計の時に知りました。台風が滅多に来ないので必要ないと説明する建築本もあったような気がします。

じゃ雨戸はもう不必要になったのでしょうか。

なぜ雨戸を取り付けるのかといえば雨風を防ぐためと考えると、正解のようで実はアウト。たしかに雨や風から家を守るためにつけるのですが、単に雨当たりを防ぐ、あるいは強風が入り込むのを防ぐというのではありません。窓を守っているのです。

もし強風で窓が割れてしまうとどうなるか。窓から家の中に入り込んだ風は逃げ道を探し、家の壁や屋根を内側から押します。屋根は少々強い風が上から吹いたところで対抗できますが、下からの力には弱いため比較的簡単に持ち上げられ、場合によっては飛んでしまいます(設置方法を考えてみて下さい。下から釘やボルトで固定する屋根はありません)。

おまけに風で飛んでくるのは風だけではありません。強風で看板やバケツなどなどが飛んでくるシーンを見たことがあるかと思いますが、これら飛来物もまた窓を壊してしまいます。

九州では雨戸が当たり前、関西から東の関東ではそうではないという事情は、(理屈はともかく)過去の台風経験の差なのかもしれません。


でも豪雨が全国的になってきた現在、今後はどの家でも窓の外側に雨戸やシャッターをとりつけておかないと資産や命まで奪うということになりかねません。そのことも昨今の台風被害でわかってきたのではないでしょうか。コストや手間がかかりますが、まだの人は一度しっかり検討して下さい。

ちなみに拙宅は窓の外に電動シャッターや手動シャッター、あるいは木製格子を取り付けています。ただ万が一の避難用にそれらをつけていない箇所もあり、そういう窓対策については、これから考えなければならんな〜と思っている次第。