The Post

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先週末封切りの映画『ペンタゴンペーパーズ』を夫婦で観に行きました。素晴らしい! 一言でいえば、地位と名誉そして全財産をかけ、報道の自由を選び取った人のお話。メリル・ストリープさんの演技が圧巻です。
時は1971年、こちらは中学生だった頃で内容はほとんど知りませんでしたが、心ある内部告発に端を発する事件で、翌年のウォーターゲート事件に連なるものです。

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実は映画のタイトルバックで原題が『The Post』であることを知りました。The Postとはワシントンポスト紙のこと。でも、ウォーターゲート事件ではありません。

一方、邦題のペンタゴンペーパーズとは、ベトナム戦争の進捗状況等を当時の米国国防総省がまとめた報告書。そこには勝ち目がないことが記されているのに政府は最高機密文書として隠蔽。あろうことか、政府はその逆、つまり戦争はうまくいっている、米軍は勝利する等と米国民に伝え、戦力増強に走り、ベトナム戦争を泥沼化させていったのです。

ケネディもジョンソンもニクソンも自らの間違いを認めたくないが故の愚かな所為は先の日本軍といっしょ。そんな状況の中で、馬鹿げた戦争で若者たちの命が奪われていくのに耐えられなかったダニエル・エルスバーグ(ダン)が問題の機密文書をまずニューヨークタイムズへ流します。映画の主人公になったワシントンポスト(The Post)は二番手でした。

映画では報道の自由を巡って、政府だけでなく株式公開をめぐる資金提供者らと葛藤した経緯が赤裸々に描かれています。

・・・と書けば簡単ですが、もともとポスト誌は保守系でベトナム戦争ではタカ派。それがなぜ国家機密を暴くことになるのか、そこがこの映画の見所の1つ。

俳優にメリル・ストリープやトム・ハンクス等々を擁し、監督がスピルバーグとくれば、映画が面白くないはずはありません。俳優がうまいのか、実在の人物がそこにいるかのようで、いつのまにか引き込まれてしまい、あっという間の二時間ちょっと。とくに、マクナマラ役の俳優さんは私にはホンモノそっくりに見えました(びっくり)。


左は映画の中のマクナマラ(ブルース・グリーンウッド)、右はマクナマラ国防長官御本人。

また映画の中で、マクナマラ国防長官が真実を隠蔽するのを咎められ、ドミノ理論とかいろいろ言い訳するのに対し、ストリープさん扮するグラハム社主が「フロード!」(Fraud! 誤魔化すな!)と窘めるシーンはなかなか痛快(拍手)。

今年のアカデミーではチャーチルばかりが話題になり、この映画はシカトされた感がありましたが、スピルバーグさんは(トランプ政権の)今だからこそこの映画の価値があると考え日程を急いで作り上げたとか。是非ご覧下さい。ちょ〜お薦め。

(蛇足)メリル・ストリープさんをレイア姫の後釜にしようという署名活動が起きているらしい。意外とイケルかも。
(蛇足2)事実に基づいた映画というものの、いつくかの点で演出誇張あり(フレッド・カプランさんの記事:Newsweek 2018/4/3)
(さらに蛇足)ワシントンポストは現在Amazon傘下(正しくはベゾスが買収)。現在、トランプがアマゾン攻撃するのもある意味わかりやすい(とは私見)。