電磁場対策いろいろ

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  住宅設計で電磁場問題をどう捉えるべきか。電磁場なんか大した問題ではない、わざわざ検討するだけ無駄だと思う人は、ここを読む必要はありません。反面、電磁場問題は深刻だと思い込んでいる人は、その根拠をもう一度疑って下さい。

 高圧送電線のような極端な例はともかく、一般的な建屋内の電磁場が人体に対して深刻なほど有害であるというにはまだ科学的根拠が十分ではありません。現在わかっているのは、いつくかの疫学調査で危険性が否定できないという程度の知見だけです。

  私なりに数編の原論文や情報源である米国ライター、科学者の書物をざっと読んでみましたが、有害であると断定したものはひとつもありませんでした。しかし、積極的に全だと言えるほどデータは揃っているわけでもありませんから、心配なしと言うのはあまりにも脳天気です。米国の消費者運動風に言えば、危険か安全かどうかもわからないものについては『念のために回避』(Prudent Avoidance)するのが得策ではないでしょうか。私の考えはまさにこれ。住宅設計では一定の基準に従って電気配線の位置、電気設備のレイアウト、また可能であれば敷地外の送配電線との位置関係について検討を加えるということになります。手順を箇条書きにすると以下の通り。もちろん、これは有田宅の設計時に考えた有田の試案であり、スタンダードなものではありません、念のため。
 
1)判断基準の設定
北欧などの例で超低周波磁場として2〜3ミリガウスですから、これを採用。
電場についてはマイクロ波によるものを考慮します。

2)住宅敷地周辺の送配電設備の状況チェック
最近は銀行屋さんや不動産屋さんも送配電線設備の内容を土地評価に組み込むとの話を漏れ聞きます。

3)居室、寝室の間取りを考える際には外部電気設備から可能な限り影響の少ない 場所を設定する。

4)室内配線の設計では特に寝室の上下の配線に注意し、可能な限り迂回させる。

5)マイクロ波や超低周波、低周波磁場の原因になるような電気装置は極力排除。
  電磁調理器、電気床暖房設備、強力モーター内蔵装置(ぎょうさんあります)

6)どうしても使用する必要のある電気設備については、
 ・寝室や日常頻繁に使う居室から遠ざける
  ・一定の距離を保てるようにレイアウトする(冷蔵庫、電子レンジなど)
  ・極力使用を抑える

 等をもとにして、電気工事を検討しました。私の場合、マイクロ波と超低周波磁場の簡易測定ができる機器をひとつ購入し、電気設備機器のレイアウトに役立てました。
深刻に考えず、しかし、手放しで安全だとすることもせず、あれこれ考えることによって、私たちの生活と電気との関係、有り様まで思考を発展させていくことが大切なことではないでしょうか。